こころの時代~宗教・人生~「“ノアの箱舟”をつくる人」[字]…の番組内容解析まとめ

出典:EPGの番組情報

こころの時代~宗教・人生~「“ノアの箱舟”をつくる人」[字]

札幌市円山動物園の動物専門員・本田直也さんは、絶滅危惧種の繁殖のスペシャリストだ。人間の手で命のバトンを受け渡す。自らの仕事に葛藤しながら育まれた生命観を聞く。

番組内容
動物専門員の本田直也さんは、は虫類両生類の人工下での繁殖を手がける。子どもの頃から、人間とかけ離れた異形の生き物たちに魅了されてきた。「生き物のことを全て理解はできないが、想像することはできる」と本田さん。生き物を観察しその生息環境を再現することで、繁殖へとつなげる。そして人間の手で誕生させた命を、自然の中に還すことを目指す。それぞれの生き物が見ている世界「環世界」を知ろうとする取り組みを伝える。
出演者
【出演】札幌市円山動物園飼育員…本田直也,【語り】加賀美幸子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 生涯教育・資格
福祉 – 社会福祉

テキストマイニング結果

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♬~

原生林が残る緑豊かな札幌市の中心部に
動物園がある。

札幌市…

♬~

は虫類・両生類館の責任者…

飼育 繁殖 展示などを一手に担っている。

管理しているのは 70種。

半分近くの種が 自然界での生息数を
急速に減らしている。

森林の伐採や水質汚染 乱獲。

人間の行いが
生物の生きる場所を奪っている。

本田さんは は虫類 両生類の繁殖の
第一人者だ。

希少な種の人工下での繁殖に
次々と成功している。

は虫類 両生類には 生態の研究が進まず

自然な繁殖行動が
分かっていない種が多い。

繁殖に適した条件を人為的に整えるのは
容易ではない。

本田さんが 世界で初めて
人工下での繁殖を成功させたワニがいる。

(ガラスをたたく音)

水中に身を潜めているのが
中国原産のヨウスコウワニ。

(ガラスをたたく音)

ガラスをたたく音は
ワニが求愛の時に出す声の再現。

見学の子どもたちが
ガラスをたたいた時

それに反応して ワニが鳴いたのを見て
編み出した独自の技だ。

(ワニの鳴き声)

(鳴き声)

ワニたちには 冬の4か月間
餌を与えない。

飢餓状態にすることで
野生下での冬眠を再現している。

試練の冬を経て
春 繁殖の季節がやってくる。

(ガラスをたたく音)

(鳴き声)

(鳴き声)

(ガラスをたたく音)

求愛の声と 冬から春への季節の変化。

2つのスイッチが押されて初めて
ヨウスコウワニは 発情する。

(鳴き声)

こうした繁殖は 世界の動物園が連携する
「種保存計画」の一環として行われている。

生まれた個体を譲り合い
飼育方法などを共有する。

どの種を残すかは 会議で決定される。

参加する日本の動物園は
「旧約聖書」のノアの箱舟にちなんで

「現代の箱舟」になることを掲げている。

は虫類・両生類館では

試行錯誤する人工繁殖の現場を
来園者に公開している。

センターラボで 一番種類が多いのは
アジアのカメたち。

中でもハコガメは

分布する地域ごとに
異なる生態を持つ希少な種だ。

ハコガメを発情させる条件。

まず 乾期と雨期が はっきりと切り替わる
東南アジア特有の気候。

そして 形態から推測される
生息地の森の 雨をたっぷり吸い込んだ土。

条件を細かく調整し続けること
10年以上…。

ハコガメは
求愛行動を見せるようになった。

それは前提ですね。

繁殖とひと言で言っても 発情から交尾
産卵 孵化まで いくつもの段階がある。

本田さんの手がけたカメの場合

産卵まで こぎ着けても
半分の卵がかえらない。

原因は分からない。

命の仕組みは 謎に包まれている。

♬~

とにかく自分より どんどん…

自分に近いものに対しての関心よりも…

そういった中で 彼らの その世界観
っていうのを 多分理解してきた

想像してきたっていうのは
あると思いますね。

視野が草むらから広がってるわけ。
きっと。

地べたに近い方から。

上から見てないから。

動物園から車で5分。

円山の原生林の中に
本田さんの自宅はある。

(取材者)こんにちは。
はい どうぞ。

(取材者)お邪魔しま~す。
ピート!

あ どうぞ どうぞ。 入って下さい。
(取材者)お邪魔しま~す。

ピート。 ピート 来い。 早く。

(取材者)犬もお好きなんですね?
犬も猫も。

(取材者)犬も猫も?
犬は1頭 猫は6頭 飼ってます。

家族は ヘビやトカゲなどの は虫類。
それに犬と猫。

そして9年前に結婚した妻の明理さん。

こんにちは。

(取材者)すいません
お邪魔します 何度も。

あ いえ… いらっしゃいませ。

昭和51年 札幌市内で看板の店を営む
家庭に生まれた本田さん。

一風変わった子どもだった。

誰とも こう 壁をつくって 遮断して。

一緒に誰とも遊ばないし。

そういう ちょっと 問題ある子だった。

保育園ではないんですけど

そういう 子どもを午前中預かって
午後帰るみたいな

そういう子ども館みたいな所も…

そんな少年が取りつかれたように
追いかけ回したのが 生き物だった。

カナヘビなんかとか
トカゲなんかも触れてきたし。

それでも 中でも
一番すり込みとして残ったのが

テレビのドキュメンタリーで見た
カメの話。

これが一番やっぱり強烈に残って。

で 僕の は虫類人生っていうのは
そっから始まった。

まず北海道なんで カメがいないんですよ
身近に もともとね。

カメってものが生息してない地域だから。

カメを知らずに カメを初めて見たら
すごいびっくりしますよね やっぱね。

あんまり見たことがなかったから。

中学 高校…
僕は 四畳半の部屋の

二段ベッドの上だけが
僕の過ごせる場所で

あとは全て動物のケージが あって
生き物の生活の場になってたと。

でも まあ その辺にいた
アオダイショウとか。

さすがに 数メーターのヘビが
逃げたってことはないですけど。

弟の部屋から
弟の叫び声みたいなのが聞こえて。

それも なんか「助けて」じゃないけど
ワーワー聞こえて

何だろうと思って パッと開けると

なんか衣装ケースに入ってたヘビが

二段ベッドの弟を 見上げて
鎌首を上げてたんですよ。

で シャーシャーいってた記憶はあります。

ヘビなんて ほんとに究極の形態。

もうこれ以上 適応しようがない。

足もないし
もう完璧な完成形の動物ですよね。

あれは なんか やっぱり
すごいなっていうのは思うし。

♬~

やっぱりね 「繁殖させたい」
というのがありますよね。

それ ちっちゃい時から… あって。

それは今でも そうなんだけど。

♬~

♬~

♬~

高校卒業後 本田さんは

迷うことなく
円山動物園を就職先に選んだ。

自宅の一角に 9年間
飼育し続けている2匹のヘビがいる。

これらは…

これは昔
動物園でも飼育してたんですけど

飼育とか繁殖が すごく…

非常に特殊な環境で
暮らしてるヘビでして。

これは 動物園ではなく
自分でやらないと解明できないな

という結論に達しまして。

で 現地から直接輸入した
個体になりますね。

ベーレンパイソンを動物園で
飼育し始めたのは 2010年。

七色に輝くニューギニア原産の
ヘビは 人気が高く

展示の目玉になるはずだった。

飼育方法が ほとんど分からない中

本田さんは 生息地である霧深い高山の
環境を推測して つくり上げた。

飼育ケースの湿度は
常に80%以上になるよう設定した。

2年後 ベーレンパイソンは
寄生虫が体内に入り 死んだ。

エストニアの生物学者 ユクスキュルが
提唱した考えだ。

例えば 1本の木。

鳥は 幹のうろを住みかにし
虫は 卵を産み付ける。

人は 切り倒して資源にする。

つまり生き物は それぞれの主観
「環世界」で世界を認識していると

ユクスキュルは 言う。

無数の環世界が響き合い 永遠に調和して
自然という宇宙が存在している。

「人間は 異なる環世界を
完全に理解はできずとも

想像することはできる」と
ユクスキュルは 語りかける。

ベーレンパイソンの死から9年。

本田さんは ヘビの環世界を探ることで
多くを学んだ。

「は虫類 両生類の命は儚い」と
本田さんは言う。

気温が1度 湿度が1% 違うだけで
生きることができなくなる。

このケースに再現されているのは

主に北海道にすむ
エゾアカガエルのための環境。

降雨量や日照時間などが

全てタイマーで自動的に制御されている。

カエルが ほんとに暮らしている
範囲内の世界は

ある程度 再現できていると。

だから ここは掃除もしなくても
いいようになってますね。

例えば フンを拾うとか
そういうことはしません。

全て分解… バクテリアによって
分解されるようになってますし。

は虫類 両生類の多くは 生まれた場所を
離れることなく 生きて死ぬ。

ひとつの森 ひとつの沼…。

限られた環境が
彼らにとって 地球の全てだ。

ミニ地球には 環境の変化に敏感な
シダやコケが植えられている。

ひとたび 枯れ始めたら それは

ミニ地球 ひいてはカエルたちに
異変が起きる兆候だ。

♬~

♬~

♬~

円山動物園は 今年

2か月間の休園を余儀なくされた。

新型コロナウイルスの感染拡大で
訪れる人の絶えた園内。

終戦間もない昭和26年に開園して以来
初めて目にする風景だ。

(砲撃音)

太平洋戦争末期

日本中の動物園から動物たちが消えた。

餌不足や空襲による混乱を避けるため

国の方針で殺処分が命じられた。

餓死なども含めると

数千頭に上る命が失われた。

戦争が終わると
全国各地で動物園がつくられた。

その数 15年間で60以上。

一度 日本から消えた動物たちが
再び 世界中から集められた。

そういったとこが根幹にあるわけで。

♬~

人間が動物を飼育するようになったのは
紀元前1万年ごろ。

農耕生活が広がるにつれて

食料にしたり 農作業をさせたりする
「家畜」は 欠かせないものとなった。

文明が発達すると

人間は動物に違った役割を
求めるようになる。

古代アッシリアのレリーフ。

飼育したライオンを
檻から放し

民衆の目の前で 矢を射る。

ライオンは 王の権威を知らしめるために
利用された。

古代エジプトで作られた
ブロンズ製の猫。

人々は 神々を動物の姿に
表現して 崇拝の対象とした。

猫は
大切に飼われ

ここから
ペットとして

世界中に
広まったとされる。

西洋社会の自然観に 決定的とも言える
影響を与えたのが 「旧約聖書 創世記」。

「創世記」が語る 人間と生き物の関係を

本田さんは
子どもの頃から聞かされてきた。

母がカトリック信者で
自身も11歳の時 洗礼を受けた。

なんか1年ぐらい神父のもとで 通って
お話を受けるみたいなものがあって。

その時の神父が僕に言った質問が
「川で 人と犬と…」。

犬っていうのは覚えてるんですよね。

要は 人とか動物が溺れてたら
誰を助けるかみたいな話を

俺にしてきた 質問として 僕に。

僕は 犬って言った。 「犬 かわいいから
犬 じゃあ助ける」って言ったら

すごく怒って…。

それ 僕らの自然観とか生命観には
あんまりなかったことだから

ちょっとね…

なんか ちょっと変わった人だな
ぐらいに思って。

でも それが あとあと やっぱり
キリスト教的な生命観なんだろうな

というのは 後々 理解できるんだけど。

は虫類・両生類館の地下。

ここでは は虫類 両生類の餌となる
コオロギが飼育されている。

その数 数万匹。

(コオロギの鳴き声)

ケースごとに全てサイズが違って

これ 混ざっちゃうと もう
餌として使えなくなっちゃう。

100% これだけで育ってるんで

ここが絶たれると生きていけない状態。

生と死というのは 常に僕らの中では
非常に身近に起きてることですよね。

それが野生のシステムで
野生のシステムっていうのは

そもそも 僕らのモノサシからいうと
残酷に見えるものがありますんで。

昆虫を主食とする動物のほとんどは
生きた個体しか食べない。

だって 自然界自体が 非道で残虐性の

そういった世界の中で
それを管理するっていう。

僕も動物…

それが残酷だと思ってたら
できないわけですよね。

僕は 動物園では
虫を餌として使ってるけど

外 は虫類館 動物園から一歩出ると

足元の虫にも気をつけるし

なかなか 踏み潰したりとかしないし

ミミズが乾きそうになってたら
ふだんは 餌として入れてるけど

そのミミズを
湿った場所に戻してやるってことも

これはこれで 自然にやってしまう。
だから そこで切り替わってる。

それは 現実としてある。

非常に支配的である。

もう 破壊してきちゃったんだから…

♬~

♬~

うちの そこのドア開けて すぐ横の壁に
日光浴してたりとか。

あと 通路のとこに
4匹ぐらい暮らしてるんだけど

すごい数いて みんな やっぱり
何だろうね

ほんとに 気持ちよさそうに
暮らしてるんで

すごい尊い うん。

それは常にそう。

これがなくなったら
何になるんだろうっていうとこですね。

それこそ もぬけの殻じゃないですか。

そのぐらいデカい存在。

今 本田さんが
繁殖に最も力を注ぐトカゲがいる。

沖縄県 宮古諸島の固有種…

近年 開発や乱獲で
急速に数を減らしている絶滅危惧種だ。

12匹から飼い始めたミヤコカナヘビは
4年間で数百匹まで増えた。

ミヤコカナヘビの人工繁殖は

環境省が進めるプロジェクト
「保護増殖事業計画」の一環だ。

動物園で繁殖させた生物を
野生復帰させる取り組みが

日本各地で試みられてきた。

多くがトキなどの鳥類だが

人間の保護なしには
野生で命をつなぐのは難しい。

本田さんは は虫類 両生類なら
人に育てられても

野生復帰できるのではと考えている。

彼らは生息環境さえあれば
本能によって生きるからだ。

さよなら。

人への影響が大きいこと自体が…

円山動物園のゲートの向こう。

森の中を5分ほど歩くと
本田さんの大好きな場所がある。

円山の原生林から雪解け水が流れ込む
小さな沼。

春 沼は野生のサンショウウオや
カエルなど

さまざまな生き物の繁殖の舞台となる。

そして7月 池に新しい命があふれる。

手つかずの自然の中で
自分が繁殖させた命が生きていく。

そんな未来を想像している。

何だろう… ほんと

この世界の…

♬~

♬~