こころの時代~宗教・人生~「光にむかって」[字]…の番組内容解析まとめ

出典:EPGの番組情報

こころの時代~宗教・人生~「光にむかって」[字]

『ニュクスの角灯』の作者・高浜寛さんは、アルコール依存症、熊本地震で「死」に直面しながら、光に導く角灯を描き続けた。闇から光へ…異色の表現者の核心に迫る。

詳細情報
番組内容
『鬼滅の刃』を破り、手塚治虫文化賞漫画大賞に輝いた『ニュクスの角灯(ランタン)』。作者は熊本県天草市出身の高浜寛さん。二十代で酒と薬を手放せなくなり、依存症を乗り越えて描いたのが『ニュクスの角灯』だった。熊本地震でアパートが全壊。「死」と直面しながらランタンがかざす光の先を描き続けた。舞台は19世紀末の長崎とパリ。主人公の少女は人生を切り開き、世界へと飛びだしていく。光とは何か、高浜さんに聞く。
出演者
【出演】漫画家…高浜寛,【語り】毬谷友子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 生涯教育・資格
福祉 – 社会福祉

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「きれい…」。

「背景が黒いから
夜の女神 ニュクスかな」。

「知ってる?
ニュクスは 夜を司る神様だけど

彼女は全ての戦いを終わらせる
力を持つの。

手にしてる この角灯で
暗い世界を照らそうとしているのね」。

闇の世界を角灯の光で照らす
女神ニュクスのブローチ。

漫画「ニュクスの角灯」の舞台は
明治初期の長崎とパリ。

ブローチを巡って 過去の苦しみや
厳しい現実を背負った人たちが

それぞれの光に向かって
歩き始める物語です。

世代を超えて 多くの読者から支持され

数々の漫画賞を受賞している
注目の作品です。

作者は 漫画家の高浜 寛さん。

この作品を描くまでには
長く苦しい体験がありました。

だんだん酒や薬が
私を乗っ取ってしまったというか。

酒を飲んでるせいで
精神薬を乱用しているせいで

生活ができなくなっていって
そのためのストレスが大きくなった。

アルコールや精神薬の依存症に
苦しむ中で

高浜さんを闇から救った
大きな出会いがあります。

それは 一片の祈りの言葉でした。

「変えられない物を受け入れる
心の落ち着きと

変えられる物は
変えていく勇気。

そして 二つの物を見分ける賢さ」。

分かりやすいのは

変えられないものは他人で
変えられるものは自分だから

自分を変えることだけに
フォーカスすればいいんですよね。

リアルを描こうと思ったんですよね。

現実的なものに より しようと
思ったんでしょうね。

闇の世界にある人の心に
角灯が明かりをともします。

♬~

高浜さんは 故郷 熊本県天草市で
暮らしています。

あ~ いっぱい…。

ちょっと待って。 どいて。

これは まあ砂糖水なんですけど
働きバチのエサになる。

ニホンミツバチは あんまり刺さない。

中 見ますか?

全部ハチ。

すごい量。

家の近くに畑を借りて
野菜や果物を育てています。

ここは 旦那がキウイの果樹園にする
予定のところで

今からキウイ棚を作るんですけど
ここに

もう気の早いやつが ちょっとなってる。

キウイ。
本当はもう棚を作って 棚にはわせて

上からなるようにしたいんですけど
その前に もうなっちゃった。

おいで おいで。

私たちが哺乳して育てた
未熟児だったんですけど

もう だいぶ大きくなりました。

家族は 農業を営む夫と
野山に放し飼いにしているヤギ 犬と猫。

(鳴き声)

家事が一段落した昼下がり
仕事に取りかかります。

♬~

月刊誌の連載やイラスト 原稿執筆など
依頼は後を絶ちません。

♬~

動物と自然に囲まれた穏やかな生活です。

♬~

代表作となったのは
初めての長編 「ニュクスの角灯」です。

2015年から4年間にわたって
連載されました。

悪い時代のあとには
必ずいい時代があるから

前を向いて歩いていこうってことを
描こうと思って。

(爆撃音)

物語は 太平洋戦争末期
空襲にさらされる熊本から始まります。

防空壕で身を潜める主人公の美世が

孫に「いい時代」だった頃の話を
聞かせます。

「ある時から
ばあちゃんの世界が変わったの。

あの不思議なドアを開けた時からね…」。

「ごめんくださぁい」。

美世が まだ少女だった明治11年 長崎。

両親を亡くし
叔母の家で育てられていた美世。

家事や仕事も満足にできず
自分に自信がありませんでした。

ある日 舶来品を扱う道具屋に
連れていかれます。

売り子募集と聞いて 採用してもらおうと
美世の特技をアピールします。

「この時計の未来の持ち主を見て!」。

「うーん 未来の持ち主は…

女性ですね 少し太った人
お金持ちかも」。

美世は 道具屋の仕事を覚えようと
懸命に働きます。

物に触ると その持ち主の過去や未来が
見えるという神通力を生かして。

ある日 近所のおばあさんが訪ねてきて

家出した孫の消息を知りたいと
美世に頼みます。

「孫が戻ったら やろうと思って
新調した着物さ。

あんたが触って 未来の持ち主に
あん子が見えれば 無事って事やろ」。

「分かった 婆ちゃん やってみよう」。

「多分そのうち帰ってくるよ」。

それを見ていた道具屋の女主人が
美世に忠告します。

ヒロインが嘘をつく。

そういう つまらん嘘をつくっていう
ヒロインは あまりいないから。

かっこよくないし ヒロインとして

「それはないわ」って
思うようなことでしょ。

それを 新しい試みとして
入れたかったんですよね。

美世は 特殊な能力があると嘘をついて

周囲の人から
認められようとしていたのです。

女主人は 美世を諭します。

「人には悩みを抱えて

落ち込んだままでいる
権利もあるんだよ」。

「嘘をつくには洞察力が要る」。

「重くて とても優しい言葉だった」。

子どもの頃から絵が好きで
ちょっと内気だった高浜さん。

高校を卒業すると 大学の美術科に
進学するために故郷を離れ

茨城県つくば市で1人暮らしを始めます。

時代は就職氷河期。

進路で悩んでいる頃

漫画家への一歩を踏み出す
きっかけがありました。

短いものだったら高校生ぐらいの時に
何本か描いたことがあって。

大学何年だったか忘れましたけど
飲み会してる時にノリで

上質紙に描いてみたのが
久しぶりの漫画制作だったのかな。

で それを見た友達が「あなたは
漫画家の才能があるよ」と言って

漫画を勧めてくれて そこから
本格的に描くようになりました。

2002年に漫画家デビューを果たします。

「この程度の
やりとりですむのなら とても楽」。

初めて発表した短編漫画。

気持ちがすれ違う夫婦と その和解
家族間の心の機微を

独特の世界観と陰影で描きました。

「新しい日本の漫画」として
フランスで いち早く評価されます。

アメリカで賞を受賞した短編集。

緻密なストーリーラインの作品群は

どれもが…

日常をテーマにしていました。

取材が必要だったり

新しい知識が必要だったりするものを
一からやるよりも

日常生活の中から出てくる話を描く方が
自分にとって やりやすかったから。

デビューから2年。

仕事が増える一方
悩みも増していきました。

本当にトントン拍子で

どんどん仕事もらったり
インタビューもらったり。

漫画家になることは 夢みてたけど

それに付随するものは
予想していなかったというか。

新しい編集者に会ったりとか
まあ 雑誌の取材を受けたりとか

苦手なシーンを
こなさなきゃいけないような時に

少しお酒を飲むと 口が回ってというか
緊張しないで話せるようになるので

少し飲んでから行ったり。

海外にプロモーションなんかで行くと
時差もあるし

そのきつい状態で
長距離の移動があったりとか

言葉の問題があったりとか。

海外での取材を受ける時の方が
より困難だった気はしますね。

初対面の人とのコミュニケーションが
苦手だった高浜さん。

自分の気持ちを偽り 取り繕ううちに
心のバランスが崩れていきました。

苦手なシーンを
こなさなきゃいけなくなってから

最初に行ったのは 心療内科で。

次の日が重要な日なのに眠れないとか

ドキドキが出るから
安定剤が欲しいとか

そういうことで薬をもらって飲んでて。
で お酒も飲んでて。

お酒の量は もしかしたら

もうずっと飲んでて 変わらなかったかも
しれないんだけれども

精神薬が入って
それを合わせ技にしたせいで

今までは なんとか自分で
それでも管理できてた日常生活が

完全に自分の管理できないものに
なってしまった。

睡眠薬を飲まないと眠れないし

飲んだところで
効いてる間だけしか寝なくて

それで起きてしまうから
全然疲れが取れなくて。

だからまあ 朝も起きれない。

起きても なかなか頭が ぼ~っとして
仕事ができなかったりとか。

で シャキッとしようと思って
またちょっとお酒飲んだりとか。

で 少しのってくると仕事をするけれども
遅くまでやってしまって またくたびれて。

アルコール依存症が進行し始めた時
描いていた漫画です。

「父ちゃんに殴られた時
いつでも死ねるように」。

当時 小学校の臨時教員をしていた
体験をもとに

虐待や両親の離婚をモチーフにしました。

このころは
救いのないストーリーばかりで

コマの外は 黒く塗り潰し
より暗い印象を強めていました。

「私、これ以上 期待してしまったら

きっと後で苦しくなる」。

睡眠薬で死のうとしたことがあって。

で 今の睡眠薬って何百錠も飲まないと
死ねないと まあ言われてますけども

それでも試そうとしたわけですね。
だから遊び半分でやったわけですね。

でも 50錠ぐらいしか 眠すぎて飲めなくて
結局 助かったんだけど

その時に 記憶してることは

ただ暗くなって 次の瞬間は目が覚めて
何にもなかった。

その間に夢も見なかったし
走馬灯もなかったし

死としてして来るべきものがなくて。

ただ眠りに落ちたのみで何もなかった。
感動的なものは何もなかった。

自殺未遂も
3回ぐらいやったことがあって

で 救急車で運ばれて胃洗浄されたりとか
それも何回もあったんですけど

帰ってきてもケロッとしてるから
みんな大丈夫だろうと思ったみたい。

大人になってから
多動障害と診断されたんですよね。

で 多動障害っていうのは 常に動いていて
注意集中が困難なタイプと

見た目は ぼけっとしてて
中が混乱してるタイプとあるんです。

で 私は見た目は ぼけっとしてるのに
中が混乱しているタイプ。

で 私がどんなに混乱していても
周りからは それが分からないわけです。

だから お酒にしても薬にしても

もう自分ではどうにもならないところまで
いってるのに

普通に… 普通に真顔で
ぼ~っとしてるだけだから

誰も気付かなかった。

それで 私はもう自分で
これでは自分がダメになると思って

まず最初に行ったのは 内科で。

先生に飢餓状態になってると診断されて

それで周りにも ようやく分かる異常が
発見されたわけです。

だけど どんどんどんどん 手に負えなく
なってくるんですよね なんか生活が。

ここからベランダまで行くのに
2時間かかったりするんですよ。

それで おかしいと
自分で どうもおかしいと。

今 普通じゃないって思って
なんとかしなきゃなと。

アルコール依存症が進行するにつれて
イラストなどを描くことはできても

漫画の複雑なストーリーを
生み出すことは

困難になっていました。

高浜さんは 治療に専念するため
熊本に帰ります。

イラストの他 アルバイトをしながら
実家で暮らしました。

どんな人に相談しても
決定的な答えをくれる人はいなかった。

お酒をやめなさいとは言ってくれないし

医者に薬を飲みたくないですと言っても
いきなりやめろとは言われないし。

だから 相談できるところは

回復した人たちの
グループしかないと思って。

高浜さんは ネットで探した

アルコール依存症の
自助グループを頼りにします。

暗い廊下を下りていって
少し明るいところに出て

この部屋に入ってきますよね。

なんか それが すごい
再生を象徴するように

当時の自分には思えたんですよね。

この部屋でやってました。

毎日 どこかでやっていて
毎日 飲みたくなった人が

いつでも どこかの会場に行けば
グループに参加できるようになってます。

来ると こうやって席について。

問題を抱えてる人たちが集まってくると。

ここに来る人たちは
アルコールの問題を みんな持っていて

みんな 言いっぱなし聞きっぱなしで
他の人は口を挟まないで

その人の話を聞くんですけど

自分の 問題だとか発見だとか

喜びだとか頑張ってることとか
つらいこととか

何を話してもいいんですよね。

その特定の誰かを傷つけなければ。

最初は やっぱり緊張してましたよね
どんな人がいるのか分からないし

自分のことについて話すのは緊張するし。

かなり ドキドキしながら来ましたね。

2つの感情があって

ほかで話せないことを ここで話すと
気が楽になるんだけど

同時に話したことで 生まれる罪悪感
っていうのも あるんですよね。

なぜ罪悪感を感じるのかな。

自分の問題を話す時に
正直に話したつもりでも

いくらかドラマチックに
なっているのではないか。

自分の中で それが
正確に伝えられているのかが

その時は自信がなかった。

これは 漫画の制作と違うから

私自身の 人生の問題だから
そこに 嘘が入ってはいけない。

本当に1%でも
嘘が入ってはいけないと思って

非常に気を遣ったんですよね。

自らの経験を語るとともに

他の参加者の話から
希望を見いだすようになります。

やめて また
社会復帰した人たちの中には

時々 すごい奇跡を起こすような
ものすごい大逆転する人がいるんですよ。

で そういう例を見ると 自分も もう
ここまで自分は落ちてきたけれども

あの人みたいに あそこまで戻りたい
もっと上に行きたいって

もう諦めてたものが もう一回
手に入るかもしれないっていう憧れ 希望。

回復した人たちを見たので これは自分も
回復してみたいと思ったわけですね。

このころ
ボランティアとして訪れたホスピスで

ひとりの がん患者と出会います。

その方はね 末期のがんだったけど。

結構 それでもホスピスの中で
4年 過ごされて。

だから 長くいらっしゃったから
私が その 行っていた間 ず~っと

彼と会って話をすることができて
その間 友達になったんですよ。

若い時は ず~っと その精神の問題に
悩まされて 結婚もなさらないで

ずっと 苦しい人生を歩んできて

で がんになって
ホスピスに入ってらっしゃった。

がんになってから 全然 幻覚とか

その そういう精神の問題が
なくなったらしいんですよ。

すごく穏やかに死なれたの。

だから がんがね 悪者だと思わなかった。

思えなかった。

少なくても 彼を楽にしたのは
がんだったのかもしれないし。

で すごく穏やかな顔で

私を含めて お世話になった人たち
みんなに挨拶して握手して

それで逝かれたんですよね。
見事な死だった。

それを なんか見せて頂いたことに
ものすごい感謝して。

誰かの死っていうのを見せて頂いたことは
すごく自分のためになったし

自分が死に向かう時も そうでないと
いけないと思うようになりましたね。

熊本に戻り 身近になった自然の中で

考える時間が増えていきます。

やっぱ 回復のために

体づくりをした方がいいということで
よくウォーキングしてましたね。

自分に与えられた時間を どう生きるのか。

意識するようになっていました。

夜 月明かりだけで ここに来て

で ホタルがバナナの葉っぱの間を
消えたり出てきたりするのが

すごい幻想的で きれいでした。

こういうところに来る以前は

植生みたいなことには あまり
関心 持ったことがなかったんですよね。

でも まあ だんだん興味が湧いてきて。

自然に触れるというのは
やっぱり すごくいいことだと思うし

精神が… 精神が癒やされる。

それから
深く考えるための落ち着きが得られる。

もう言葉で表せないものでもあると
思いますよね。

やっぱり自然のそばにいて…。 うん。

例えば どんなに無神論の人でも

自然のことは
否定できないじゃないですか。

鳥が飛ぶこととか虫が鳴くこととか
そんなことを

どんなに科学で説明しようと思っても
分からないことが たくさんあるし

だから
自然を信じていればいいと思いますよね。

なんか その
とにかく自然が助けてくれたり

自然が答えをくれたりすることは
たくさんあるし。

それが サムシング・グレート
っていう人もいれば

ハイアーパワーという人もいれば
神という人もいれば

宇宙という人もいるでしょうけど。

でも 自分が その
そういうものが なしに

自分一人が生きてると思うのは
傲慢でしょ やっぱり。

自然の中で生かされているわけだから。

何か全体のおっきなものの中で
生かされてて

それについては何も解明されてないことが
多すぎるわけだから。

自助グループに通って1年以上。

出会いと別れを重ね 高浜さんは
自分の依存症と向き合い続けました。

いろんな知識を得ることができました。

普通の一般社会
学校とか家族とか職場とかで

習ってこなかったようなことを
習う機会になった。

特に精神的なものに関しては。

そして 運命を変える言葉と出会います。

アメリカの神学者
ラインホルド・ニーバーが広めた祈りです。

回復しようとする依存症者を

日々 支えてる祈りですね。

分かりやすく言うと
変えられないものは他人。

変えられるものは自分。

だから…。

自分に決定権がないものを一生懸命
変えようとすることは無駄なことで。

でも 自分の在り方とか自分の中で
変えられるものは変えていこうと。

今までは その困難な状況を自分で
なんとかしようとしてきたわけだから。

何ともならないものを受け入れよって
言われることが驚きだった。

「ニーバーの祈り」に背中を押されて

高浜さんは
依存症から回復していきました。

31歳の時 出版社のオファーを受けて

数年ぶりに ストーリーのある漫画に
取り組むようになります。

そのころ描いていた「SAD GiRL」。

自分の過酷な体験をもとにしました。

しかし 結末は自らの力で
明るい方向に向かうようにしました。

例えば
悪とかネガティブなものを描いても

それを読むことが面白いって
思うようなものにしたい。

なんか自分のネガティブな感情を

他の人に押しつけるような漫画は
もう描きたくない。

更に歴史漫画にも幅を広げます。

「几帳でおす。
お初に お目にかかりんす」。

幕末の長崎 丸山遊郭を舞台にした
「蝶のみちゆき」。

哀しい過去を抱えながら 美貌と粋で
遊郭を生き抜いた太夫の生涯。

ふるさとで暮らすうちに
地元の歴史に触れ

そこに生きた人々の埋もれた声に
惹かれていきました。

最初は 仕事としてやってましたけど

だんだん そのジャンルに惹かれて
やるようになったわけですね。

それは確かに その もう今 生きてない
人たちのことを調べると

自分も変わるし 今の社会に
応用できることが たくさんある。

以前は やってたはずなのに

今の人たちが やらなくなったことを
掘り出すことがあるし

そういうのを描いていくのは
やりがいもありますよね。

復帰後 次回作の構想を練っている時

アンティークショップで偶然
ひとつのブローチを見つけます。

それが夜の闇に光をともす
「女神ニュクス」でした。

ずっと夜が来ない状態で
それが明けたことがあったんで

そのブローチを見た時に
自分の経験と照らし合わせて

すごく惹かれたのは あったと思います。

ブローチに着想を得たのが
初めての長編「ニュクスの角灯」。

高浜さんの代表作が生まれた場所を
訪ねました。

あれです。

3階の角部屋です。

かつて ここに建っていた 築数十年の
古いアパートに住んでいました。

薬をやめて お酒をやめてって
決めた時に

インターネットの不動産情報サイトで

1万円台 1部屋 ワンルーム
熊本市内 中央区で検索して

こんなものあるわけないって

エアコン フローリングとかですね

思い切って
いろんな条件を入れたんですけど

あるわけないだろうと思ってたら
ここが1軒だけあったと。

それで もう一発で決めて
ずっと住んでました。

住んでる間に 家が こう傾いてきて
玄関ドアが閉まらなくなったんで

鍵かけないで出歩いたりしてたぐらい
ボロかったです。

3年間いたと思います。

こんなボロくても入ってみりゃ
住めるじゃないかっていうんで

どんどん その
底があるってことを教えてくれたけど

その底が別に 自分が思ってたような
最低なものじゃなかった。

実際に その 底を見てきた人たちの方が

底を知らないで育った人たちより
強かったりする

それと同じことですよね。

底を知っている方が強いというか。

部屋には 家具やランプなど

お気に入りのアンティークを
いっぱいに飾りました。

古い品々に囲まれて

「ニュクスの角灯」を
夢中で描きました。

もう私 ここ住んでる間は
全然 何も問題を感じてなくて

エアコンも まあ あったし
壁もボロかったけど 問題なかったし

お風呂も寒かったけど 発泡スチロールで
塞げば なんとかなったし。

何にも問題 感じずに 1万2, 000円の
ボロ物件に住んでたわけです。

結構 それは幸せな時間さえもあって

保育園から子どもたちの声が聞こえてきて
のどかでね いい思い出も 結構あります。

やれば なんとかなるんだってことを
教えてくれた物件ですよね。

神通力で物の持ち主の
未来が見えるのは

嘘だと見破られた美世。

再び その力を頼まれます。

「あんたなら視えるやろ」。

美世は 女主人の言葉を思い出します。

美世は 誰かの期待に応えようと
自分を偽ることをやめたのです。

漫画家として 再び光を見いだした頃
地震が襲います。

住んでいたアパートは全壊認定。

アンティークに囲まれた部屋は…

立ち入るのも
困難になっていました。

余震の時に
既に全壊だったんですよ。

揺れて この家に戻ってきたら

もう住民の人たちが
ここに みんなで出てて。

で この道 なんとかこう…
危なくないように この道に避難してて。

でも もうこの亀裂なんかも
その時じゃないのかな。

ぐにゃぐにゃ… 道がぐにゃぐにゃで。

こういう電柱が
倒れてくるんじゃないかと思って

みんな 右行ったり 左行ったり
って感じでした。

本当にもう死ぬんだって思った時は
不思議な感じでしたね。

そして もう
受け入れる気持ちになってたし

その瞬間が5分後なのか3日後なのか
噴火なんか予測もできないし。

何とも分からないから
近いうち死ぬっていう

それぐらいしか分からないから
どうやって生きるのか すぐ考えて。

その間にも県外に逃げる人とか

車を使って どんどんどんどん
逃げ出す人たちがいたんだけど

なんで私はここに残ってるのか
自分でも ちょっと不思議でしたけど。

死ぬつもりで残っていましたね。

死ぬまでに少し時間があれば

文章なり漫画なりにして
残して死ねるけど

きっと この死に方は
あっという間にいくから

誰にも伝えることができないのは
残念だと思いました。

住み慣れたアパートは すぐに解体され

集めていたアンティークの多くも
手放さざるをえませんでした。

緩やかに PTSDみたいなものになって

前 住んでた家をこう
通ったりすることがあったんだけど

その時に もう既にあれが建ってて
自分が住んでた部屋がないっていうのが

ちょっと不思議な喪失感を感じてました。

いや そのね 物質的にいろんなものが
新しくなったり 復興したり

違う人が生活を始めてたりするのに

自分が先に進んでないっていう
感じなんですよ。

ポカンと あそこから
あそこに住んでた時のまま

なぜか自分が その間に進歩してなくて

一人だけが取り残されている
っていう感じなんですね。

あと なんか復興ムード
すぐに こう「頑張ろう熊本」とか

すごい復興ってなったけど

それにも追いついていかなかった
感じがしますね。

地震の直後からずっと
仕事だってしてたし

いつもいつも
何かしら一生懸命してたし

もう 「してるのに」っていう
気持ちなんですよね。

だから うつの人に頑張れって言うと
いけないっていうのと同じ心理で

もうなんか これ以上
頑張ろうとかっていうのは

もう言ってくれるなっていう
感じなんですよね。

実家も全壊し 車での避難生活は
1か月に及びました。

この車の中で 「ニュクスの角灯」の連載を
描き続けました。

震災みたいな分かりやすい悪いことって
そう何回も頻繁にあることではないから。

祖母と話してて思ってたんですけど

例えば スペイン風邪の話 聞いたり
戦争の話 聞いたり

老人の話を聞くと
いい時代と悪い時代が

その一人の長い人生の中では
何回かあるんだってことは

小さい時から思っていたんです。

だから 私のバッドラックっていうか
バッドターム バッドピリオドが

今来てるっていうのが
すごく その時に思って。

災害系は何回来るんだろうな~とか

感染症系は何回来るんだろうなとか
思いましたね。

あと何回 災害は起こるんだろう。

戦争はあるんだろうか。

やっぱり その80年70年
80年 人生 生きるとして

その間に何もないなんてこと
よっぽどじゃないとないから。

今 被災してる人たちがね
過去に被災して

その人たちが どういうふうに
生活を立て直していったのかを

知ることもいいことだし。

やっぱり自分が 何かを克服したい

自分 変えられるものを変えていく
自分を変えていこうと思った時に

求めて読むものは書物だったり
インターネットであっても

テキストだったりするわけなんですけど
そこに その時 すぐなければ

検索して
たどりつくことができないから

やっぱり残すということ
大事だなと思いますね。

熊本地震のあと
物語は大きく動きだします。

自分には何もできないと
自信が持てなかった美世は

英語やフランス語を学び

道具屋として大きく成長します。

ある日 美世の仕事ぶりが
貿易商の目にとまります。

美世は パリで働くチャンスをつかみます。

「わ… 私が… 外国に!?」。

連載への人気が高まり
震災からの復興も熱を帯びる中で

高浜さんは 再び心のバランスを崩します。

半年ぐらいしてから
みんな気が緩んだ時に

そういう
ちょっと空虚な気持ちになって

再飲酒… 私も再飲酒したし。

酒飲み友達が いろいろとできて
その中には アル中の人たちもいるわけ。

で 仲良くなった人たちもいて

私は せっかく親しくなったんだし

みんな 自分の夢の話とかも
飲みながらしたりして

みんなで光の方に行こうよって
思ったけど

みんな行かないわけですよ。
飲んでいたいから ずっと。

で やめようよって言っても
みんな やめなかった。

本当に いろんなことが
全然できなくなって。

で もう このままだと
仕事を失ってしまう

漫画家としても
機能しなくなってしまうって思って

もうやめないといけないと思って。

お酒を飲んでいる時に 私は 24ページの
短編しか作る能力がないんですよ。

集中力も低下して 絵の…

目とか脳が 多分 水がたまってるせいだと
思うんだけれども

絵も 描く絵もおかしくなるし

色も きちんと正確に塗れないし

長編なんか その構成を頭の中で
キープし続けることができない。

だから 紙に書いて

こことここは こうするって
全部メモしても

飲めば飲むほど
どんどん描けなくなっていって。

でも お酒をやめて3か月 半年
1年 3年ってたつと

特別メモしてなくても
長編の構想が頭の中でキープできる。

こんなに違う。

だから… だから スリップした時
震災のあとでスリップした時にも

もう せっかく あれを再び得てたのに

あの能力を
また失ってしまったと思って

もう それを取り戻したいから
やめられた。

♬~

闇の世界を
角灯の光で照らす

女神ニュクスの
ブローチ。

職人の叔父が手作りしたものを

お守り代わりに美世に持たせます。

「じゃ… 行ってきます!」。

いよいよ美世は パリへ旅立ちます。

(汽笛)

♬~

「パリは近いぞ!」。

♬~

物語の舞台は 花の都パリへ。

美世は早速 パリで仕事を始めます。

最初は なかなか
うまくいきませんが…。

持ち前のひたむきさで

仕事に慣れていきます。

見るもの触るもの
何でも珍しい海外生活です。

パリ編の重要人物となるのが
高級娼婦 ジュディット。

社交界で華やかな生活を送っています。

その裏で
重度のアルコール依存症に苦しみ

結核を患っているにもかかわらず

飲酒をやめられないでいました。

リアルを。 アル中のリアルは
こんなもんだっていうことは

ちゃんと描いた方が
話は面白くなると思いましたね。

それは自分が知ってるから。

アル中になったことがない人が
アル中を描くのと

なったことある人が描くのとでは
きっと違うし。

あの話の中には
もう一人 ポーリーヌっていう

同じアル中だったけれども
既に回復してて

彼女を導くキャラクターがいて。 それは
自助グループみたいなもんですよね。

2人だけだけど メンバー2人の
自助グループ。

先を行く人が これからやめる人を
導いていくっていう

そういうスタイルを あそこに入れて。

こういうふうにして
やめていくことができるっていう

サンプルを その中に入れた。

ポーリーヌに託したのは
高浜さんの人生を変えてくれた

「ニーバーの祈り」でした。

(セミの声)

生まれ育った天草で暮らす
高浜さんは

この地を舞台に
次回作の構想を立てています。

江戸時代初期に起きた 天草・島原の乱。

激戦地となった富岡城の
資料館を訪ねました。

なぎなたは あんまり詳しくないので
よく分かんないですけど

当時は九州で流行したって
書いてありますね。

室町時代に九州で流行した。

城跡には 当時の石垣が残っています。

城が攻められた時 たくさんの人が
ここで命を落としました。

この島で戦乱を生き抜いた人々は
何を見 何を感じていたのか。

数年をかけて
ストーリーを練り上げていきます。

過去の日本人から教わることが
たくさんあるということですよね。

私たち やっぱり
時代が新しくなればなるほど

いろんな発見があって
科学的にも いろんなものが解明されて

人間は賢くなってきてると思うけれども

実際は 昔の人の方が聡明だったと
思うことが 私はすごく多くて

困難の乗り越え方も教えてくれるし

いろんな人が書き記しているし
いろんなエピソードもあるし。

だからもう それが神であってもいいし
死んだじいさんであってもいいし

全然 血のつながりのない

何世紀かに生きた
誰かであってもいいわけだけど

自分の中で
自分だけのメンターを持つっていう。

それは死者であっても構わないと
思うんですよ。

もう とっくに
いなくなった人でも構わない。

でも必ず なんか答えが出る。

不思議なことですけどね。

漫画を描き続けること。

それが 苦しみ抜いた高浜さんが
たどりついた希望です。

♬~

(爆撃音)

太平洋戦争末期の防空壕から始まった
「ニュクスの角灯」。

年老いた美世が孫に語る

明治時代 長崎 パリでの
夢のような話が終わりました。

「いいね すごく素敵な時代やったんだ」。

「あの頃は 世界中が浮かれとったね。

新しか発明に 新しか芸術
初めて知る世界。

でも その一時の夢が見れた事には
感謝しとるよ。

その後の現実を生きていく事は
ようでけんかったろうと思う」。

「あの頃があったけん
今があるわけやしね」。

「ああ…
ばあちゃん 少し眠くなってきた」。

「ゆっくり眠って。 話し続けて疲れたろ」。

大きく変わったのは

やっぱり その 生き直すというか
小さな輪廻ですよね。

現世での輪廻だけど
一回 精神の死とか 肉体の死とか

仮死 仮の… 擬死を経て

もう一回 生き直すっていう
その ちょっとした輪廻ですよね。

これを経験して 漫画の

状況設定とか歴史設定
時代設定が長くなった。

前は 一人の人生の この辺りを
切り取って描いていたようなものが

人の生き死にのサイクルを
もっと全体を含めて描くようになった。

美世の孫が見つめるのは
原爆が投下された長崎です。

(美世の声)「大丈夫 悪い時代の後には
きっと いい時代が来るから」。

私が最終的に言いたかったのは
悪い時代のあとには いい時代が来る。

でも そこがエンドじゃなくて
また悪い時代は来る。

だけど 悪い時代が来た時に どうやって
乗り切っていくかっていうところを

トレーニングをしておけば
次だって ちゃんと乗り越えられる。

そういうことを描きたかった。

♬~

3歳ぐらいまで
晴れた日は毎日見てました。

この美しさはね
表現してもしきれない。

あとは雲を見て 雲の形の中から

いろんなストーリーを見つけるのが
好きだった。

すごい象徴的だったのは 震災のあと

スリップして また断酒を始めた頃に

ちょうど こんなふうな夕焼けで
熊本市の空でしたけど

ハトが大きく羽を広げたような形の雲が
わ~っと目の前に出たことがあって

それも何となく
すごい象徴的で覚えてますね。

もう あっち側に行かないといけない
と思って。

明るい方に行かないといけないと思って。

高浜さんが闇の中で求めた光。

それは 女神ニュクスのブローチでした。

美世は お守り代わりのブローチを
パリで落としてしまいます。

拾ったのは
アルコール依存症に苦しむジュディット。

ジュディットにとっても
ニュクスのブローチは

大切な人との愛の証しだったのです。

「やっぱり あなたが
拾ってくださったんですね」。

「あぁ…」。

混乱するジュディットを
美世は優しく介抱します。

「私の父も
時々 こんな風にパニックを起こして」。

嘘をつくことで 父親を安心させたり

周囲からの注目を集めたりしていた美世。

しかし 嘘は見抜かれ

自分をよく見せようと
気持ちを偽ってきたことを告白します。

自分を信じて
ありのままを生きてきたと伝えました。

「私が人や自分を信じる事を
恐れてるって事ね…」。