にっぽん!歴史鑑定『出雲神話に隠された真実』ヤマタノオロチ退治に因幡の白ウサギ…ファンタジーかと思いきや、…

出典:EPGの番組情報

[字]にっぽん!歴史鑑定『出雲神話に隠された真実』

ヤマタノオロチ退治に因幡の白ウサギ…ファンタジーかと思いきや、近年の研究で史実をもとに作られた可能性が!出雲神話が伝えるメッセージを読み解き、神代の歴史に迫る

詳細情報
出演者
【歴史鑑定人】田辺誠一
番組内容
“ヤマタノオロチ退治”に“因幡の白ウサギ”…日本最古の歴史書「古事記」の中でも特に有名なこれらの物語は、いずれも出雲を舞台にした「出雲神話」。長い間ファンタジーだと考えられていたが、近年の研究で史実をもとに作られた可能性が浮上!出雲神話が伝えるメッセージを読み解き、神代の歴史に迫る▽若い娘を食べてしまうヤマタノオロチ!果たしてその正体は…▽遺構を発掘!出雲大社に巨大神殿が?オオクニヌシノミコトとヤ
番組内容2
マト王権の関係
音楽
蓮花「夢ヒラリ」
制作
2016年
HP
https://www.bs-tbs.co.jp/kantei

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他

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  1. 出雲
  2. オオクニヌシノミコト
  3. ヤマタノオロチ
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  13. オオナムヂ
  14. ヤマト政権
  15. 試練
  16. 出雲神話
  17. ヤマタノオロチ退治
  18. 意味
  19. 洪水
  20. 神様

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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<出雲大社の名で親しまれる>

<縁結びの神様 オオクニヌシノミコトを祭るこの神社では>

<毎年11月 神在祭が行われます>

<旧暦の神無月は 出雲の神在月>

<日本全国から八百万の神々が 出雲に集まってくるのです>

<連綿と続けられてきた 神々を迎える神聖な儀式は>

<見る者に いにしえの歴史ロマンを 感じさせてくれます>

<そんな出雲を舞台にした物語が>

<「ヤマタノオロチ退治」>

<「稲羽のシロウサギ」などで知られる 出雲神話です>

<日本最古の歴史書 「古事記」に登場する神話の>

<3分の1を占める出雲神話は>

<長い間 古代のファンタジーと 考えられてきました>

<ところが 近年の研究で>

<史実をもとに作られていることが 分かってきたのです>

<有名な「ヤマタノオロチ退治」>

<8つの頭を持つ怪物の正体は>

<洪水をもたらす暴れ川か?>

<それとも製鉄の象徴か?>

<稲羽のシロウサギを助けた 出雲大社の祭神 オオクニヌシノミコト>

<彼は出雲国を治める実在の王だった?>

<なぜオオクニヌシは 国をヤマト政権に譲ってしまったのか?>

<その代償として建造させた 天にも届く巨大神殿とは?>

その歴史の謎 私が鑑定しましょう

<神話の里>

<8世紀の初めに太安万侶が編纂し 元明天皇に献上された>

<日本最古の歴史書 「古事記」には こう記されています>

<「神 イザナキとイザナミが国を生み」>

<「イザナキの子で暴れ者だった スサノオノミコトが」>

<「神々の住む高天原から追放され」>

<「地上に降り立ったことで 出雲国ができた」と>

<こうして始まる出雲神話は>

<縄文時代から 弥生時代にかけて起きた出来事を>

<物語にしたといわれています>

(スサノオノミコト)
出雲神話 もっと知りたいか?

うん? あっ!

あっ もしかして
スサノオノミコトさんですか?

そのとおり!

いや~ はじめまして
お会いできて光栄です

色々 出雲神話の秘密を
教えてやろうと思ってな

あっ それはありがとうございます

ところで スサノオノミコトといえば
まあ 失礼ながら

すごく乱暴者で
高天原を追放されてしまった神様ですよね?

ま… まあな

死んだ母親に会いたいと泣きわめいたら

父のイザナキに こっぴどく叱られ

田んぼを壊し
御殿で汚物をまき散らしたりしてたら

姉のアマテラスオオミカミに
放り出されたんじゃ

う~ん そうなんですか

元々 姉と私では
神様の出来が違うみたいじゃ

姉はイザナキの左目から生まれたけど

こっちは どこから生まれたと思う?

えっ… 反対側の右目ですか?

ブッブー!

鼻の穴じゃよ

目なら涙みたいできれいじゃが

鼻の穴じゃ 風邪をひいて出てきた
鼻水みたいじゃないか

いや まあ
そんなことはないと思いますけど

ところで 私が出雲で詠んだ歌
知っておるか?

えっ? あっ どんな歌なんですか?

八重に湧き上がる雲が
八重垣となる出雲で

妻と一緒に暮らすという意味でな

なんと 日本最初の和歌なんじゃ
どうじゃ?

う~ん さすがですね

おっと 出雲で
神様の話し合いが始まる時間じゃ

そろそろ行かないと!
あ~ ちょっと… えっ?

<スサノオノミコトが和歌に詠んだ>

<八重垣の名を持つ八重垣神社は>

<スサノオと その妻であるクシナダヒメが>

<暮らしたといわれる場所の一つです>

<そんな2人の出会いを描いた神話が 有名な>

<あまりのやんちゃぶりに 高天原を追放されたスサノオは>

<出雲の斐伊川上流に降り立つと…>

<泣いている老夫婦と その娘 クシナダヒメに出会いました>

<スサノオは 泣いている理由を尋ねます>

ヤマタノオロチが年に一度やって来て

8人いた娘のうち
7人を食べてしまいました

もうすぐヤツが来る頃で

最後の娘も
食べられてしまうに違いありません

<聞けば ヤマタノオロチは 8つの頭と尾を持ち>

<谷や山の尾根を8つも越えるほどの 巨大なヘビ>

<その目は赤く燃え 腹はいつも血でただれている>

<それは恐ろしい怪物なのだといいます>

<そこでスサノオは クシナダヒメを嫁にもらうことを条件に>

<出雲の人々を苦しめる 怪物退治を約束します>

<クシナダヒメをクシに変えて 頭にさしたスサノオは…>

<ヤマタノオロチを退治するため>

<老夫婦に強い酒を用意させました>

<そして垣根を作り 8つの門を設けて>

<そこに酒を置いておくよう命じたのです>

<準備を整え待っていると>

<いよいよヤマタノオロチがやって来て>

<酒を飲み干し>

<酔いつぶれて眠ってしまいました>

<すかさずスサノオは その体を剣で切り刻みます>

<すると 剣の刃が欠け>

<オロチの尾から 強じんな太刀が現れたのです>

<こうして ヤマタノオロチを退治したスサノオは>

<クシナダヒメと結婚>

<出雲で暮らしたのでした>

<出雲には この「ヤマタノオロチ退治」 ゆかりの場所が残っています>

<ヤマタノオロチがすんでいたとされる 斐伊川の天が淵>

<スサノオが落とした枝が 成長したといわれる>

<シイの大木もあります>

<御室山の麓にある釜石と呼ばれる岩は>

<ヤマタノオロチに飲ませるための酒>

<八塩折の酒を造らせた釜跡>

<さらに 斐伊神社の八本杉は>

<スサノオがヤマタノオロチの首を 埋めたとされる場所>

<ヤマタノオロチを退治した スサノオノミコトは>

<その後 ここ須我神社に 宮を建てて暮らしたといわれています>

<こうした神話にまつわる 旧跡がいくつもあることから>

<ヤマタノオロチの話は 何らかの 史実をもとに作られた物語ではないかと>

<推測できるのです>

<その一つの説が…>

出雲神話の「ヤマタノオロチ退治」

この物語は 出雲平野の暴れ川で

幾度となく洪水を起こしていた
斐伊川のことを

物語にしたと考えられてきました

ヤマタノオロチは
稲作にとって最も重要な

水を支配する龍神であり

そのいけにえである
クシナダヒメは

稲田の象徴

スサノオノミコトが
ヤマタノオロチを退治したというのは

稲田の収穫を奪ってしまう
斐伊川の洪水をなくした

つまり治水によって
国を治めたということだと

ところが最近では
ヤマタノオロチ神話には

全く異なる歴史の真実が
隠されているのではないか

と主張する研究者が
少なからず存在するのです

その歴史の真実とは

鉄を巡る壮絶な戦いです

<「ヤマタノオロチ退治」の中には>

<確かに製鉄を思わせる記述があるのです>

<その一つが>

<「ヤマタノオロチのただれたような赤い腹」 という表現で>

<製鉄の炉を意味しているのではないかと いわれています>

<では製鉄を巡る争いとは どういうものだったのでしょうか?>

<元々 中国山地を水源とする斐伊川流域は>

<砂鉄を豊富に産出する地域で>

<古代出雲でも 鉄器作りが 行われていました>

<その出雲の鉄を 象徴しているとされるのが>

<スサノオが持っていた剣です>

<「古事記」ではヤマタノオロチを 「高志之八俣遠呂智」と記しています>

<「高志」とは当時の北陸のこと>

<つまり ヤマタノオロチとは>

<北陸の方から進出してきた 勢力の例えと考えられるのです>

<戦いの中 出雲のスサノオの剣は>

<ヤマタノオロチの尾にあった太刀によって 欠けてしまいました>

<このことから 北陸の勢力は 出雲より強い刀を作れる>

<新しい製鉄技術を持っていた 可能性があるのです>

<しかし ヤマタノオロチは 退治されてしまいました>

<スサノオは 尻尾の中から出てきた太刀を>

<姉のアマテラスオオミカミに献上します>

<すなわち 出雲が争いに勝ち>

<北陸の勢力の新しい製鉄技術を 手に入れることができたと>

<読み解けるというのです>

<まさに 「ヤマタノオロチ退治」は>

<製鉄を巡る争いを 物語ったものだと>

確かに 「ヤマタノオロチ退治」は

製鉄技術を巡る戦いの記録とも
読み取れます

果たして 洪水を治める物語なのか

それとも製鉄にまつわる物語か

どちらの説も説得力がありますが…

この辺りは
専門家に聞いてみることにしましょう

出雲神話といえば
立正大学の三浦先生です

よろしくお願いします
よろしくお願いします

スサノオノミコトによる

「ヤマタノオロチ退治」は
洪水を治めた話か

はたまた 製鉄を巡る話か

大きく2つの説があるようですが

私はどちらかといえば
やはり洪水に関わる

あるいは
川に関わってるだろうと考えるのが

一番分かりやすいと思います

川というのは自然で

その自然の神を表しているのが
オロチだというふうに考えてみればいい

そして その自然っていうのは

いい面 つまり人間にとって水は必要だし

だけれども 一方で 洪水になったら
大変なことになってしまう

そういう恐ろしい面も持ってる

その恐ろしい面を抑えて
いい力を引き出してくる

そういう力を人間は持っている

その象徴的な語り方っていうのが

スサノオによるオロチ退治神話だと

ですから国の始まりっていうのが
日本でいえば稲作で

稲作によって新しい国づくりが始まっていく

そういう中で 人間が水を制御する力を
手に入れたというふうな神話を

この「オロチ退治」で
語ろうとしてるのではないか

ヤマタノオロチが洪水だとすれば

物語は 最後に剣の話になりますよね

それには
どういう意味があるんでしょうか?

弥生時代というのは

鉄の文化が始まった時代だというふうに
いうこともできます

ですから オロチの尻尾から
剣が出てくるというのは

弥生の始まり
そういう新しい文化の渡来といったことも

象徴されているのではないかと
いうふうに見ることができると思います

なるほど
そういう意味とも考えられるんですね

三浦先生 ありがとうございました

<神話 「稲羽のシロウサギ」に 隠された真実とは?>

<出雲大社はスサノオノミコトの子孫 オオナムヂが>

<オオクニヌシノミコトとなって 鎮座した場所です>

<日本全国から縁結びの御利益を求め>

<多くの参拝者が集まります>

<本殿の左右に一棟ずつ建てられた>

<南北に細長い建物は十九社>

<毎年 神在祭の間 全国から集まった>

<八百万の神々が泊まる いわば 神様の宿です>

<オオクニヌシが鎮まる本殿は>

<24メートルの高さを誇り>

<大社造と呼ばれる>

<日本最古の神社建築様式を とどめていることから>

<国宝に指定されています>

<そのオオクニヌシノミコトが 主人公となった神話といえば…>

<はじまり はじまり>

オオクニヌシノミコトが

まだ オオナムヂと
呼ばれていた頃のこと

兄達と一緒に 女神の一人である

稲羽のヤガミヒメのもとに
求婚に出かけました

一行が気多の岬まで来たところで

兄達は皮を剥がれて倒れている
ウサギと出会います

兄達はからかって
「塩水につかり 山の上に寝て」

「風に当たれば すぐに治る」
と 嘘をつきます

それを真に受けた
ウサギの皮膚はひび割れ

あまりの痛さに泣いていると

そこに 遅れてきたオオナムヂが通りかかり
声をかけました

すると ウサギは
「私は隠岐島にすんでいました」

「この地に渡ろうと思い 海にすむワニに」

あっ ここでいうワニは
サメのことです

「我がウサギとワニ どちらの一族が多いか」

「数比べをしよう」とワニに持ちかけ

ワニ達を海に並べさせたのです

「私は ワニの上を踏みしめながら」

「数を数えるふりをして
こちらまでやって来たのですが」

「あと一歩というところで」

「つい だましたことを
口走ってしまいました」

「怒ったワニに皮を剥がれ」

「通りかかった神様にだまされ」

「こんなことになってしまったんです
しくしく…」

これを聞いたオオナムヂは
「川の水で体を洗って」

「蒲の穂をとり
それを敷いた上に寝転がればいい」

と 治療法を教えてあげたのです

すると…

ウサギの傷は癒え 大喜び

「あなたがヤガミヒメを妻にできるでしょう」
と予言し

その言葉どおりになったのでした

…と まあ おなじみの
「稲羽のシロウサギ」のお話です

まあ この神話にも どうやら

隠された意味があるようなんです

その辺りを先生に聞いてみたいと思います

三浦先生 すいません

皮を剥がされたシロウサギを

オオナムヂ
のちのオオクニヌシノミコトが

助けてあげたという この話は

何を伝えようとしてるんでしょうか?

単に 心が優しいからというふうな
意味があるだけではなくて

オオナムヂが病気を治療する

ここでは ケガを治療する

そういう力を持ってるんだ

古代の古い時代の未開社会の王などに
共通することですけれども

王というのは
そのようなシャーマンとしての

病気を治したりするような力を持ってこそ
王の資格があるんだ

だから オオナムヂが
ウサギを助けたことによって

他の神々にはない
王になる能力を持ってるっていうことが

ここの神話で語られたんだ

でも 先生 日本の王といえば

ヤマト政権の大王ですよね?

最終的にはヤマトの王が

この日本列島を支配する
という形になってくわけですけれども

それ以前 2世紀 あるいは もっと前の時代

この日本列島には様々な勢力があったんだ

そして それが色んな勢力争いをしながら
暮らしてた

そして その中で最終的にヤマトが

全体を支配する王になっていった

ということになるわけですが

それ以前の社会を考えれば

出雲のオオクニヌシというのは

やはり 日本海側の
出雲という世界を支配する王だった

というふうに考えることが
できるんじゃないでしょうか

オオクニヌシノミコトは 出雲の支配者ですか

なるほど 先生 ありがとうございました

(オオクニヌシノミコト)
いや~ しんどい しんどい

まさに
オオクニヌシノミコトはつらいよ だな

あっ 今度はもしかして
オオクニヌシノミコト様ですか?

しんどいというのは
何がでしょうか?

私が地上の王となるためには

数々の試練を乗り越えねばならなかった

例えば こんな話 知っておるか?

うん?

それは 本当に
世にも恐ろしい試練じゃった

<オオクニヌシに迫る危機>

<王となるための すさまじい試練とは!?>

(オオクニヌシノミコト)
私が オオクニヌシノミコトとなる前の

オオナムヂの頃のことじゃった

(オオクニヌシノミコト)
スサノオノミコトが治める国を訪ね

出迎えてくれたスサノオの娘
スセリビメと恋に落ちると

スサノオから思わぬ試練が与えられたんじゃ

まずは…

(オオクニヌシノミコト)
蛇が床一面にはい回る部屋に通され

「ここで寝ろ」なんて命じられたんじゃ

すると スセリビメが
蛇よけの布を渡してくれて

(オオクニヌシノミコト)
無事に切り抜けることができた

今度は…

(オオクニヌシノミコト)
なんと ムカデがはい回り

ハチが飛び回る部屋にも
入れられてなあ

(オオクニヌシノミコト)このときも
なんとか スセリビメからもらった布で

難を逃れたんじゃ

オオクニヌシ 危機一髪じゃ

(オオクニヌシノミコト)さらに スサノオが
野に放った矢を探せと命じられてのう

(オオクニヌシノミコト)
その矢には火がついていて

周囲を炎に囲まれてしまったんじゃ
熱かった!

(オオクニヌシノミコト)
もう ダメかと思ったところに

ネズミが現れ
身を隠す場所を教えられてのう

その上 矢までを見つけ出してくれてな

いや~ あのときは本当に助かった!

<間一髪で 数々の試練を乗り越えたオオナムヂは>

<やがて スサノオノミコトに こう 命じられます>

お前の持っている太刀や弓矢を使って

兄どもを追い払い お前が国を治めるのだ

<試練を克服したことで>

<新たな力を得た オオクニヌシノミコトは…>

<地上世界を治める 正統な王と認められ>

<出雲国を支配することになったのです>

いや~ ホント 大変でしたね

オオクニヌシノミコトが
そんなに苦労していたとは知りませんでした

で 色々と助けてくれた
スセリビメとは結婚されたんですか?

もちろんじゃ

ただ タキリビメやカムヤタテヒメとか

他の女神のもとにも通ってのう

モテモテじゃ

それで縁結びの神様としても
知られているんですね

で 王となった私は
国づくりを始めることになったんじゃが

そのあと 新たな試練が訪れてのう

新たな試練とは?

あっ いけない 出雲に戻らねば

あ~ この時期 神様 忙しいですもんね…

では 地上の支配者となった
オオクニヌシノミコトの

新たな試練とは何だったのでしょうか?

<かつて 出雲神話は あくまで物語であり>

<出雲国は神話上の国で 実際には存在しなかった>

<と 思われてきました>

<ところが…>

<今から30年ほど前>

<古代史の常識を 根底から覆す事実が明らかになりました>

<その舞台となったのは 出雲にある荒神谷遺跡>

<ここから 358本もの銅剣が 出土したのです>

<世紀の大発見でした>

<それまで 日本各地で出土した 銅剣の総数は300本余り>

<それを超える大量の銅剣が たった1カ所から出土>

<様々な儀式に用いられる銅剣の存在は>

<かつて この場所に 大きな勢力があったことを示しています>

<つまり 出雲国が実在したことが 証明されたのです>

<「古事記」が書かれた20年ほどのちに>

<ヤマト政権が地方の国々に書かせた 「風土記」の一つ>

<「出雲国風土記」>

<この中に 出雲国の規模を示す 記述がありました>

<昔々 出雲をつくった神 ヤツカミズオミヅノノミコトは>

<出雲国を見渡し こう 思い立ちます>

(ヤツカミズオミヅノノミコト)
「この国は 細長い布のように小さい国だ」

「どこかの国を縫いつけて大きくしよう」

<そこで 余分な土地がないかと 海の向こうを眺めると>

<朝鮮半島の新羅に 余ったところがありました>

<ヤツカミズオミヅノは鋤を地面に打ち込み>

<土地を切り離したのです>

<次に 現在の島根県中部にある山を杭にして>

<三つ編みにした 丈夫な綱をかけ>

<新羅を力いっぱい 引っ張ると>

<その土地は ゆっくりと動き>

<出雲国にくっつきました>

<続いて 隠岐島の一部>

<能登半島の先からも 土地を引っ張ってきたのです>

<つまり 出雲は日本の 単なる一地方ではなく>

<北は朝鮮半島 日本海の島々>

<そして 能登半島から内陸部にまで広がる>

<一大勢力であったと考えられるのです>

<さらには 遠く離れた信州の諏訪にも>

<出雲の力が及んでいたことを示すものが 残っています>

<7年に一度 諏訪大社に祭る御柱を>

<山から切り出し運ぶ 勇壮な祭りです>

<御柱に象徴される巨木文化は>

<出雲にもありました>

<諏訪も 出雲と同じ文化圏にあったとすると>

<出雲はヤマト政権に 勝るとも劣らない勢力だった>

<と 考えられるのです>

例えば ヤマトという世界と
出雲を こう 比べてみる

そうすると
海の向こうから鉄が入ってくる

どうやって入ってくるか

出雲は直接
もう すぐに海を通して入ってくる

ところが ヤマトに来るには

ものすごい長い距離を通って
入ってこざるを得ない

新しい文化が入ってくるっていう点でいえば

もう 断然 出雲の方が有利だ

<有利だったはずの出雲ですが>

<最終的には ヤマト政権に支配されてしまいます>

<出雲はなぜ ヤマトに支配されたのか?>

<そのとき 何が起きたのか?>

<「古事記」には地上世界の王となった オオクニヌシノミコトの>

<その後の物語も記されています>

<そこには 神話とは思えない>

<国の支配権を巡る交渉の過程が 丁寧に描かれていました>

<オオクニヌシは中つ国と呼ばれた国の 整備に取りかかるのですが>

<しばらくすると…>

<姉のアマテラスオオミカミが 動きだします>

<地上を高天原から目にした アマテラスは…>

<…とオオクニヌシの追放を宣言>

<アマテラスは 八百万の神々と相談し>

<オオクニヌシのもとに>

<国を譲るよう 次々と使者を送り込みます>

<しかし オオクニヌシは 受け入れようとしません>

<そこで アマテラスは 武力にたけた神 タケミカヅチを派遣し>

<中つ国の譲渡を迫りました>

<追い込まれたオオクニヌシは…>

私は答えることができない
子が答えるだろう

<その判断を 自分の息子達に委ねました>

<すると 息子達は>

<初めは中つ国を譲ることに 抵抗するのですが>

<結局 降伏してしまいます>

<降伏の意に間違いがないか 使者はオオクニヌシに再度確認>

<オオクニヌシは服従を誓いますが>

<その代わりに…>

<高天原に届くほど丈の高い>

<地底に届くほど深く立派な柱を持った 住まいが欲しいと告げたのです>

<その願いは受け入れられ>

<オオクニヌシは隠居>

<中つ国は アマテラス側に譲られました>

<中つ国とは 出雲を中心とした 中国地方と考えられ>

<この国譲りの神話は>

<出雲国がヤマト政権の 支配下に入ったことを示すといわれています>

<神話では話し合いによって>

<出雲国が譲渡されたように 記されていますが…>

<実際は そんな なまやさしいものでは なかったようです>

三浦先生 一体 何があったんですか?

かなり大きな武力衝突が
起こったんだろうと考えて

間違いないと思います

恐らく 弥生時代の初めぐらいに

そのような戦いが各地であって

百いくつにも分かれていた国々が

覇権を争いながら戦っている

で 最終的にはヤマトが
それを統一していくわけですけれども

そこにいくためには
大きな犠牲が伴っていたんだろうと

中国の古い歴史書によれば

倭国大乱
というふうな言い方で

説明されているものと
重なるのではないか

倭国大乱ですか

では なぜ 争いがあったことを記さずに

国譲りの交渉の経緯を
記しているのでしょうか?

ヤマトの側にとっていえば
そういう戦いの末に

自分達が覇権を握ったんだというふうな
語り方をするよりは

そういう話し合いによって
穏やかに解決したんだというふうに語った方が

自分達の権威といったものが
主張できるというふうな

考え方もあったのかもしれませんね

なるほど まさに勝者の歴史ですね

そうですね ヤマトが
この日本列島を制圧していく

そういうヤマトの王権が

どのようにして出来上がったか
ということを

いかに苦労しながら そして 穏やかに

この世界を譲り受けたか
っていうふうに語ることが

ヤマトにとっては
大事なことだったんだろうと思います

なるほど 分かりました
先生 ありがとうございました

さて 国譲りの神話には

もう一つ 大きな謎が残っています

それはオオクニヌシノミコトが
国譲りの条件として要求した

巨大神殿です

<国譲りの神話に記された もう一つの謎>

<それは 出雲国がヤマト政権に譲渡された際>

<オオクニヌシノミコトが 代償として要求した>

<高天原に届くほどの巨大神殿です>

<その巨大神殿とは 出雲大社のことだと考えられてきました>

<しかし 1744年 江戸時代に建てられた現在の本殿は>

<高さが24メートル>

<巨大というほどではありません>

<では それ以前>

<鳥取県の弥生時代の遺跡から 出土した土器に>

<巨大神殿と思われる建物を描いた>

<線描画が見つかっています>

<このことから オオクニヌシの時代>

<日本海側には 巨木を使った高層の建物が>

<建てられていた可能性は 高いと考えられます>

<さらに 平安時代にまとめられた「口遊」には>

<当時の高層建築物のベスト3として>

<「雲太 和二 京三」 と記されています>

<すなわち 京都の大極殿が3番>

<大和の大仏殿が2番>

<そして1番が 出雲の大社だというのです>

<当時の大仏殿の高さは45メートル>

<出雲大社は それ以上の高さがあったことになります>

<しかし 大仏殿以上の 高い建物を建てることは>

<古代の建築技術では不可能と考えられ>

<長い間 巨大神殿は 架空のものとされてきたのです>

ところがです
2000年に出雲大社で発掘調査を行った結果

幻と思われていた巨大神殿が
存在していた証拠が発見されたんです

一体 何が見つかったのか
のぞいてみましょう

ここは出雲大社本殿の
八足門です

その前辺りにありました

地面に大きな丸が3つ

皆さん 何だと思いますか?

実は これ 3本にまとめられた
巨大な柱が発見された跡なんです

それが巨大神殿の基礎の部分だったと
考えられているようなんですが

その柱がですね

現在は こちらの博物館に展示されています

松尾さん 見せてもらえますか?

はい どうぞ

こちらが実際に発見された
実物の柱です

ああ 大きいですね

(松尾)直径130センチもある
杉の大木を使用しています

そして 3本束ねて
さらに大きな材木としています

柱の根元は このように一抱えもある
非常に大きな石をたくさん突き固めて

強固に固めていました

この柱を宇豆柱と呼んでいます

宇豆柱
これはどういう意味なんでしょうか?

麗しいとか 立派な柱という意味です

この宇豆柱は本殿正面の
中央にあたる位置の柱となります

なるほど それにしても木でできた柱が

よくこんな長い間 きれいに残りましたね

はい 奇跡的なことだと思います

境内の地下には
豊富な地下水が流れていて

酸素が遮断された状態でした

そのため 木材が腐らずに
このように残ったのです

この柱の発見により
国譲り神話で語られた出雲大社の高層神殿

その実在性が実証された
といえると思います

なるほど やはり巨大神殿は存在した

そうなんですね
あっ 貴重なもの ありがとうございました

<出雲大社 宮司 千家家に伝わる>

<鎌倉時代頃に描かれた この図には>

<当時の神殿を支えていた 柱の配置が記されています>

<この図と発掘された柱の配置が 酷似していることなどから>

<見つかった神殿の建造は 鎌倉時代と考えられています>

<これが国譲りの代償で建てられた 巨大神殿を>

<受け継いでいるものとするなら…>

<柱の大きさから 推定される神殿は>

<現在の出雲大社の倍の>

<実に壮大なものだったと 考えられるのです>

高さ48メートルとは
驚くべき巨大神殿です

オオクニヌシノミコトの要求で
ヤマト政権が建てたものなのか

はたまた 元々 巨木文化を持っていた出雲が

自ら建てたものなのかは分かりません

今後の調査 研究を
楽しみに待ちたいと思います

いずれにしろ ヤマト政権の支配下となった
出雲の支配者 オオクニヌシノミコトは

国と政治の実権を譲り

以後 出雲大社の祭神として
祭られることになりました

今日は出雲神話を探ってきましたが

神話の裏に こんなに秘められた
エピソードがあるとは思いもしませんでした

いや~ 神話 そして日本の歴史
奥が深いです