にっぽんの芸能「まるごと!歌舞伎“仮名手本忠臣蔵”」[字][再]…の番組内容解析まとめ

出典:EPGの番組情報

にっぽんの芸能「まるごと!歌舞伎“仮名手本忠臣蔵”」[字][再]

歌舞伎屈指の名作「仮名手本忠臣蔵」全11段を一挙紹介!54分で丸わかり「忠臣蔵」の見どころ、魅力、ドラマの本質を、昭和の名優たちによる超豪華・貴重映像の数々で!

番組内容
歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」をまるごとご紹介!初世市川猿翁、市川寿海、三世市川左團次、二世中村鴈治郎、十七世中村勘三郎、中村歌右衛門、尾上梅幸、二世尾上松緑、初世松本白鸚ほか、昭和の名優たちによる超豪華な貴重映像・大顔合わせの至芸に迫る。大石内蔵助を演じたこともある高橋英樹も大興奮!どっぷり忠臣蔵の世界へ。<ゲスト>児玉竜一(早稲田大学教授)<司会>高橋英樹(俳優)、中條誠子(NHKアナウンサー)
出演者
【ゲスト】早稲田大学教授…児玉竜一,【司会】高橋英樹,中條誠子

ジャンル :
劇場/公演 – 歌舞伎・古典
音楽 – 民謡・邦楽
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

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キーワード出現数ベスト20

  1. 師直
  2. 勘平
  3. 本蔵
  4. 由良之助
  5. 判官
  6. 場面
  7. 事件
  8. 仇討
  9. 忠臣蔵
  10. 本当
  11. 若狭之助
  12. ハッ
  13. 力弥
  14. 仮名手本忠臣蔵
  15. 歌舞伎
  16. 財布
  17. 児玉
  18. 非常
  19. コレ
  20. 塩冶判官

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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今宵は「忠臣蔵」大特集!

♬~

♬~

♬~

「にっぽんの芸能」 司会の高橋英樹です。
中條誠子です。

12月といえば 赤穂浪士の討ち入り
「忠臣蔵」ということで

時代劇を演じる英樹さんにとっては
もう 切っても切れない作品ですよね。

私たちの時代はですね 師走といいますと
映画でも舞台でも

必ずといっていいほど「忠臣蔵」でしたね。
はい。

それだけ 日本人が愛する テーマ 美学
それがあったのかもしれませんね。

実際 英樹さんは どんな人物を?

そうですね。 大石内蔵助 堀部安兵衛
この辺は やらせていただきました。

それと 毎年やっております
兵庫県の赤穂市で行われている

討ち入りの当日の 赤穂義士祭

昨年 一昨年と 2年続けて
参加させていただきました。

まあ そうやって 人々に親しまれている
「忠臣蔵」の決定版が

何と言いましても 歌舞伎の
「仮名手本忠臣蔵」ではないでしょうか。

はい。 今日はですね
歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」を

NHKに残る貴重な映像によって
丸ごと 徹底解剖してまいります。

スタジオには 早稲田大学教授で
歌舞伎や文楽に お詳しい

児玉竜一さんに お越しいただいています。
よろしくお願いいたします。

よろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。

さて こちら「仮名手本忠臣蔵」

歌舞伎で上演される際の
場面の通称をパネルにいたしました。

全十一段ということで もう大作ですね。

まさに 江戸時代に作られました
「大河ドラマ」でございますね。

ねえ さまざまな艱難辛苦を経て
主君の仇を討つという

その長さが またいいですよね。

これ 討ち入りは 実際は 1700年…。
そうですね。

史実の討ち入りが 1702年ですけれども

「忠臣蔵」は 最初は人形浄瑠璃
文楽のために書き下ろされまして

それが ちょうど
史実から くしくも47年目と。

四十七士ですか。
そうなんですよ。 ということで

その年のうちに
もう 歌舞伎で上演されまして。

大阪ですけれども
そのあと 江戸に来て

江戸の三座が「忠臣蔵」を
皆 上演するといったような

たちまちのうちに 人気狂言ということに
なりましたですね。

実際の事件は
もちろん 江戸なんですけども

江戸のお膝元ですから
幕府にとっては

劇化されるというのは
いろいろと 神経をとがらせる…。

何か ちょっと先に演じたら
3日ぐらいで やめたっていうシーンも

あったみたいですね。
…いう話もございますね。 そうですね。

曽我物に仮託したりですとか
小栗判官の物にしたりとか

いろいろ あったんですけれども
こちらは「太平記」の世界ということで

浅野内匠頭を塩冶判官。
赤穂というのは塩ですよね。

塩冶判官 なるほど。
塩冶判官ということで

ただ 塩冶判官と高 師直の間で
いざこざがあって

そして 塩冶判官が
亡ぼされてしまうというのは

「太平記」の中の史実なんですね。
ですから その史実を踏まえながら

赤穂浪士の物語を重ねていくという
まあ 何て言いましょうかね

複眼的に歴史を見ると そういうところが
また魅力なんだと。

高家筆頭ですよね 吉良上野介。
そうです。

高家筆頭なので 高 師直となっていると。
そうなんですよ。

ちゃんと考えているんですね。
そうなんですよ 考えているんですよね。

今回はですね
この歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」の全編を

お見せしようということなんですよね。
この使用する映像が

大変貴重なんですよね 児玉さん。
そうなんですね。

NHKが長年撮りためてこられた
劇場中継の中から

昭和の名優たちによる
「忠臣蔵」ということで

各番組を よりすぐりの映像で
お送りしようと。

そういう まあ趣向なんですね。

それでは まるごと! 「仮名手本忠臣蔵」
開幕です。

♬~

さあ 幕開きは「大序」です。
ここが事件の発端となるわけですね。

場面のキーワードは
「横恋慕」となっています。

まず 横恋慕するのは高 師直。 高 師直。
関東方の最高権力者がいる形で

その下に 塩冶判官

それから 桃井若狭之助というのが

もう少し下の位として
いるんですけれども。

一番最初の事件の発端になりますのが

高 師直 老人による
まあ 邪恋なんですね。

時の権力者たる 高 師直が横恋慕って

傲慢極まりないですね。
本当 そうなんですよね。

この「兜改め」と申しますのが
この鶴岡の八幡宮で

敵方の新田義貞の 討ち死にしたあとの
兜を奉納するということになって

その兜を鑑定しましょうという
それが「兜改め」という名前の由来でして。

顔世御前が その兜を見知っているので
やって来るという。

まあ 師直は最初から人妻に手を出すと。
色と欲の人物で描かれてる。

そうですね。 権力を笠に着て
言うことを聞かせようという

そういう人物なわけですけれども。

まあ しかしながら
演じる側としては 恐らく

非常に敵役として魅力ある役ですね。
そうですね。

まあ いいか。

顔世どの 顔世どの。

なあ。

顔世どの 顔世どの。

この師直が 口一つで
明日からは 五器提ぎょうもしれぬ

あぶねえ身代。

それでも お身ゃ 武士か アア。

それでも 武士か 侍かよ エエ。

ば… ば… 馬鹿な面だ。

早えわ。

(柝の音)

まあ 現代でも会社などで起こりそうな
事件を描いているからこそ

見てる方も共感ができるんでしょうね。

ですから 作品見て 「大序」だけでもって
人間関係の基本が 非常によく分かり

そして かつ このあと
どういう展開になるんだろうと。

この時点では みんな
いじめられている若狭之助が

きっと刃傷するんじゃないかと思うような
期待を込めつつ

次に つながっていくという
そういうことになりますよね。

さあ というわけで 二段目でございます。
「松切り」と通称がありまして

「主思い」というポイントが
ありますね 児玉さん。 はい。

「松切り」というのは この
今 師直に辱められました若狭之助が

もう 師直を切ってしまうという
その心の内を

家来の加古川本蔵に打ち明ける。

加古川本蔵は「このとおり
やっておしまいなさい」と言って

松をすぱっと切る。

…と言って 若狭之助を止めないでおいて
その一方で 裏から手を回すという

そういう まあ 主君のことを思っての

家老の行動に至るまでというのが
描かれているんですね。

殿中で もし そんなことがあったら

お家が崩壊してしまう…。 そうなんです。
という危機感から。

それを「やめなさい やめなさい」って
止めても

若狭之助は 多分 止まらないだろうと。
止まらない。 そう。

だから「やりなさい。
そりゃそうですよ」って言っといて

裏から手を回すというね。 そう。
ええ。

人は一代 名は末代。

いささかなりとも 御気後れあっては

ご先祖様への御恥辱

ものの見事に あそばされましょう。

本蔵。
ハア。

安近 祝着に思うぞよ。

(本蔵)ああ いや 殿。 しばらく。

まっこのごとく。

オオ。

(柝の音)

血気にはやる若い殿様を
老家老がどう対応するか。

時代劇でも よく
描かれるとこですけどね。 そうですね。

家を救うために
実は全く別な手段を考えて

師直を懐柔にかかる
ということになるんですね。

それが三段目につながっていきます。

その三段目が「進物場」という
キーワードが出ていまして

「賄賂」と。
そうなんです。

これは 師直の機嫌をとるために
いろんなご進物を ととのえて

そして賄賂を贈ると。
「忠臣蔵」 やっぱり 全部 話が

恋と それから お金で
動いていくんですね。

やっぱり 庶民の目で見ている
武士の事件なので

ここでは 事件を解決していこうと
するのも やっぱり お金と。

この賄賂を渡すことによって 師直の
若狭之助に対する態度というのは

ガラッと変わるんですよね。
もう本当に手のひらを返したようにね

すごい一変するんですよね。

「謝ろうと思ってたんだけど
この間はね あなたじゃなかったら

私は 切られてたところだ」と
いろんなことを言って

もう若狭之助としては
もう 切るに切られない

拍子抜けということになってしまうのが

この「喧嘩場 刃傷」 「喧嘩場」の

前半部分ということになるんですよね。

切ってしまうのもバカバカしいと
思わせるってことですね。

それを 本蔵は
陰から ハラハラと見守っていて

若狭之助が行ってしまうので
「ああ よかった」というところに

判官が やって来るという展開に
なっていくんですね。

そこで
この「パワハラ」というキーワードが。

判官は やって来たところで
ちょうど 顔世御前が

その大序で渡された手紙に対する
返事というのがやって来る。

これが もちろん 師直のよこしまな恋を
しりぞけるものなわけですね。

それもあって 師直は さては
判官に全てを打ち明けた上で来たんだと。

判官 知らないんですけれども。
打ち明けてきたんだなというので

まあ 判官に対する いじめが
始まるんですね。

それが 言ってみれば まさに現代で言えば
パワハラにあたるかということですね。

面目丸潰れなわけですよ。
そうですよね。

自分の恋心を 旦那さんにも
伝わっちゃったっていうことになると。

そこで グイグイ来ますね。
そう。 しかも さっき

若狭之助に お金のためとはいえ
あんなふうに平身低頭までしていた

その怒りと
それから 何て言うんでしょうかね

まあ さまざまなものが 全部
判官に向かってしまうということで

観客としては 恐らく 若狭之助は
抜くんだろうなと思ってたところが

全ての怒りが ここで コロッと判官に
まあ 師直の怒りが移ってしまう。

そういう展開になりますね。

あのような
小さな屋敷から

このような大広間へ
出たるよって 途を失い

手前の詰所は いずれでござる。
判官 お手前の詰所は あちら

いやいや いやいや こちらじゃ
あちらじゃと

うろうろ うろうろするうちに

お廊下の柱へ 鼻っ柱を打っつけて

それ ピリピリ ピリピリ
ピリピリピリと

死にまする。

その鮒がよ。

ん イヤ。

お手前 どうやら
その鮒に似てまいったな。

うん オウ オウ。 そう 力んだところは
鮒そのままじゃ。

師直 この年に相成るまで

鮒が上下を着けて 登城いたすを見るは
初めて。

伴内。 判官が鮒になられたぞ。
ホホホホホ。

ふ… 鮒そのままじゃ。

鮒 エエ。 鮒 エエ。

鮒だ 鮒だ。

鮒侍だ。

ハハハハハハ。

師直 待て。

コレ 何をする。
コレ のかぬか。

のかぬか。

コレ 袴が破れる。

コレ のか…。

(師直)まだ 何ぞ 用があるのか。

その用は。

その用は。

〽 上を下へと

いや~ 二代目 松緑の師直

梅幸さんの判官

うわ~ すばらしかったですね。
「あうん」の呼吸ですね。 そうですよね。

もう お二人 長年のコンビですから
本当に もう ぴったり息が合って。

もう 若い頃から ずっと
持ち役でね らっしゃいますね。

いや いいわ。 声もいいし
またね 間がいいですね。

そうですね。
それから 判官の品の高さと

その まさに大名の怒りというところがね。

最後は カ~ッとやって
パッと 本蔵 見るじゃないですか。

本蔵 見るんですよね。
あれが またね きくんですよ。

見られた本蔵にとっては それが重く 心に
ずっと残ってしまうというところですね。

その刃傷に及んだ判官ですけれども
その沙汰を描いたのが

四段目ということになりますね。
はい そうですね。

本蔵に抱き留められたために
師直に とどめを刺せなかった。

師直は生き延びてしまった
ということなんですね。

切腹の場面に
自分が一番無念の思いを伝えたい

その人物がいないという。
そうですね。

国家老の大星由良之助ということで。
史実でしたら 即日切腹ですけれども。

伯耆国 これ 鳥取県が送り元なので

そこから 由良之助は えっちら おっちら
来なきゃいけないんですよね。

ですから その間 ず~っと まあ
数日間 待ってるわけですけれども

ただ 切腹の沙汰が来てしまって
それでも由良之助は来ない。

なんとかして 思いを伝えて死にたい。

国家老 大星由良之助とは その方か。
ハッ。

ああ 苦しゅうない。 近う 近う。
ハッ。

さだめて様子は… 聞いたであろう。

ハッ。

聞いたか…。

聞いたか…。
ハハア。

無念…。
アイヤ

この期に及び 申し上ぐる詞とても
ござりませぬ。

只 尋常の御最期のほどを

願わしゅう存じまする。

いうにや 及ぶ。

由良之助。
ハッ。

近う。
ハッ。 近う 近う 近う。

ハッ。

由良之助。
ハッ。

この… 九寸五分は…

汝へ形見。

形… 見… じゃわいよ。

ハッ。

梅幸さんは 本当に その ギュッと
息を詰めてる緊迫感がすばらしいですね。

「かたみ」とも「き」とも つかないね
微妙なところを。

敵を討ってほしいという

それを「形見」という言葉で
伝えようとする。

まさに これが
日本人の美学なんでしょうね。

ですから 江戸時代とか
忠義とかいうことを超えてね

やっぱり 男と男の信頼関係で

この男に これを言って死ななくては
死にきれないという

男と その全てを受け止める男とってね
そういうところですね。

この演じてらした
十三代目の片岡仁左衛門さん

この時で 82歳だと思うんですけども

本当に その大一座の中で

由良之助が回ってきて
おつとめになった

まあ 言ってみれば 人生懸けた
名演だったと思いますですね。

さあ ここまで「忠臣蔵」の
刃傷事件の発端から

判官切腹まで見てまいりました。
四段目までと。

まあ 何か こう一気にね 見てしまう。

やっぱり 非常に これ
作劇がうまく出来ていて

本当に次から次へと つながっていき
意外な展開もありながら

あっという間に ここまで
たどりついてしまうという感じですよね。

♬~

さて ここからは 一人の塩冶浪士と
彼を愛する女性の物語を見ていきます。

そのカップルといえば 英樹さん。

なんといっても お軽 勘平でしょうね。

まあ もめ事に巻き込まれて

勘平さんは命を落としていくという
とこなんでしょうかね。 そうですね。

大きな事件が その一人一人の浪士に
あるいは その家庭に

どんな影響を及ぼしていくかといった
視点で描かれるわけですけど。

大きな事件の陰で 相思相愛の男女の悲劇
これが濃密に描かれますね。 そうですね。

そして しかも そのお父さん あるいは
お母さんといったところにまで

話は及んでいくと。

そのお軽と勘平が最初に登場するのは
どの場面なんですか。

ここで言いますと
この「裏門」という場面ですね。

三段目。
三段目です。 そうですね。

判官と師直が喧嘩している あの時に

実は お軽が勘平に「今 暇でしょ。

いいじゃない いいじゃない」と言って
誘って

勘平は「まあ いっか」といって
2人で職場を抜け出して

まあ 逢瀬を楽しんでいると。 その間に

天下を揺るがす大事件が
起きてしまった。

この「裏門」といいますのは
まあ 歌舞伎で やります場合は

殊に 関西での上演の時は
この「裏門」で やるんですけれども

東京ですと 所作事の「落人」
清元の「落人」ってね 所作事になって

その「裏門」を やらない場合が
多いんですけれども。

こういう御馳走場というか

ほっとするような場も ちゃんと ねえ。
そうなんですよね。

特に歌舞伎座でやりますと これが
ちょうど 昼の部のフィナーレで

ちょうど いいんですよね。
なるほど。

ドラマをリアルに描くか
あるいは また 様式美にするか。

これ 演出の違いなんでしょうかね。
そうですね。

ただ 描かれてる話は
実は一緒でして

その主君の大事に あり合わせなかった
勘平が

武士の面目が廃ったからといって
切腹をしようとするわけですね。

ところが それを お軽が止めて。

「ここで死んで どうするのよ あなた」
ということで

「私のお父さんも お母さんも
しっかりした人だから

是非 私の実家へ来なさい」と。

この五段目は「討入嘆願」

そして「闇夜の錯誤」という

ちょっと ドキッとするキーワードですね。
そうですね。

山崎の 与市兵衛の家に身を寄せて

そして まあ 狩人として暮らしながら

さて 塩冶の浪士たちは
どうしただろうかということを

気にかけながら暮らしている。

山崎街道で 元の朋輩の千崎弥五郎に
ばったり出会うと。

そして 仇討ち その他の計画がある
ということを 内々 教えられて

それに加わるためには 御用金

お金が要るんだということを
まあ 知らされ

そして「そうか 分かった。 じゃあ
なんとか それを用立てよう」と言って

彼は別れていくわけです。

そのあとに 今度
その「闇夜の錯誤」というですね

鉄砲を構えている勘平が 闇の中で
イノシシを撃つわけですけれども

イノシシを撃ったと
思ったのですけれども。

闇夜の中 火縄が消えてしまうので
真っ暗な中で 手探りをしてみると

それは イノシシではなくて人であった。
「どうしよう 薬を」といって

懐を探るんですけれども
その懐に財布があると。

「これが天の与えというものか」と…。
そう言ってますもんね。 言って

それで その財布を奪って。
それを… いわゆる お金を使おうと。

それを御用金として届けようと。
もう 本当に やっぱり

せっぱ詰まってるんですよね
勘平の気持ちとしては。

「それしかない」ということ。 そこで
勘平は去っていくわけですけども

真っ暗闇の中なので。 江戸時代の
真っ暗闇ですから 本当に真っ暗闇。

勘平は 誰を撃ったか知らぬままに

誰の懐から財布をとったのか知らぬままに
去っていくということになるんですね。

この暗闇の出来事から
一夜明けたら六段目。 そうです。

勘平に どうやら お金が要るらしい
ということは

それ以前から
与市兵衛も気が付いていまして

ただ 庶民がお金を
大金を用意しようとすると

残念ながら その 身売りと
娘を 年頃の娘なので

それを 遊郭に売ろうという
手段しかないということで

祇園に お軽を身売りする算段をして。

実は 与市兵衛は その契約金の半分の
50両を懐に入れて 戻ってくる途中。

ところが それを
斧 定九郎に殺されてしまうんですよね。

そして 財布は
ですから 与市兵衛から定九郎に移る。

勘平が撃ったのは
実は その定九郎だったんですよね。

そして ですから 勘平は
定九郎の懐から その財布をとった。

六段目になって「与市兵衛が帰ってこない。
どうしたんだろう」。

勘平は その時間帯とか 何とかを聞いて
さては 自分が撃ってしまったのかと。

しかも 財布を見ると
話に出てる財布が それだということで。

その舅殺しを疑われて
みんなから責めたてられて

もう いたたまれなくなって 切腹と。
はい いうことになるんですね。

この六段目の勘平は

尾上菊五郎家の芸として
よく知られてるんですけれども

特に近代ですと
六代目 尾上菊五郎が

やはり 父の五代目 菊五郎から
受け継いだ

有名な当たり役だったんですけども
NHKにはですね

その六代目 菊五郎の
録音があるんですね。

この六代目 菊五郎を敬愛して
その芸を受け継いでいたのが

戦後で言いますと 代表的なのが
二代目 松緑と

十七代目の中村勘三郎ということに
なりますですね。

勘平を上演した回数は

十七代目 勘三郎の方が
多いんですけれども

NHKは 二代目 松緑の勘平の映像も
持っておりますので

ちょっと珍しいので それを
是非 見ていただきたいなと思います。

金は 女房売った金

打ち留めたるは。

(両人)打ち留めたるは。

舅どの。

アー。

ヤヤ…。
(両人)なんと。

アア… ア…。

いかなればこそ勘平は

三左衛門が嫡子と生まれ

十五の年より 御近習勤め

百五十石 頂戴なし

代々 塩冶の御扶持を受け

束の間 御恩を忘れぬ身が

い…。

色に耽ったばっかりに。

六代目さんに 息遣いから 何から
そっくりですね。

やっぱり 松緑さんとしては
「自分が覚えたのは こうだよ」という

お手本を見せたいというね
そういう おつもりでしょうね きっとね。

ここまで 児玉さん
勘平の死について こう…。 そうですね。

ですから 勘平は 実は舅を
殺したんではなかったどころか

実は図らずも 親の敵を討っていた
ということに なるわけですよね。

ですから それを
連判に加わるわけだけれども

まあ 残念ながら

黄泉路に旅立たなくては
ならなくなったということで。

まあ ハッピーエンドでは
ないのですけれども

しかし 連判に加わることができた
という点から見ると。

そこが またいいですよね。
そうなんですよ。

そうなんですよ。
一縷の望みは達したと。

♬~

いよいよ 討ち入りに向けて佳境ですね。
そうですね。

七段目以降は
由良之助の仇討ちを こう巡って

さまざまな人間模様を見せていく
そういう感じがしますね。

この七段目からなんですけれども

キーワード
「遊興と本心」というところですね。

そうですね。 由良之助が祇園の一力で
ず~っと遊びほうけていると。

それは 仇討ちの本心を隠して

由良之助は どうも仇討ちをする気は
ないんじゃなかろうかと

敵を欺く計略なんですけれども。
ただ 計略とはいえ

そのお芝居としては
やはり その廓に遊んでいる

余裕ある男の その お大尽の風情と

それから しかしながら
やはり 本心は

仇討ちの計画を
綿密に練っているという

その虚と実の交錯とでも
言いましょうかね

そこが見どころということになりますね。

かっこいいですよね。 本音を隠して。
そうですね。

成就の日を願う 由良之助。

私は 先代 白鸚さんの由良之助が
ものすごく印象に残っておりまして。

これぞ 男の中の男だろうと。
本物の内蔵助さんも

こうじゃなかったかなというぐらい
もう大好きなんですよ。

廓というのは いろんな人たちが
出入りできるわけですよね。

その それぞれとの関係が
描かれていくわけですよね。

そして その中に

由良之助は
遊女となっている お軽とも出会う。

お軽は「はや 里慣れて」という
言葉がありますから

環境順応能力が非常に高いんですよね。

遊女として すっかり
なじんでるんだけれども

勘平が死んだということは
全く知らないと。

そこに 兄の平右衛門
これは塩冶家の足軽で

非常に身分の低い
武士の中でも身分が低いんだけれども

その 妹思いの平右衛門は
実は 山科に立ち寄って

お母さんから 全てのことを聞いていると。

妹に どうやって伝えるかという
大変な 実は思いを抱えながらも

大変 明るく振る舞っている兄貴と。

それから しかしながら
彼は 一方では低い身分であるけれども

仇討ちに加わりたい。
そのさまざまな思いが交錯しながら

物語は進行していくと。
そういう場面ですね。

とかく 浮世は。 チン。

〽 こうしたものじゃ

ツツ テ。 やあ ツツ テ。

御台様より 火急の御状。

シテ ほかに御口上は なかったか。

ほかに御口上は ござりませぬが
近々 かた…。

かたと見えしは 群れ居る鷗。

あの御城代の由良之助様が
われをお請け出さるる。

われを お請け出さ…。

そんなら いよいよ 本心放埒。

お主の仇を討とうという

所存はねえに

極まったな。

兄さん あるぞえ あるぞえ。

あるとは 何が。

高うは言われぬ。

モシ。

サ 早う 手にかけて…。

妹 いい覚悟だ。

南無阿弥陀仏。

モシ。

獅子身中の虫とは おのれがこと。

我が君より 高禄を戴き
莫大の御恩 蒙りながら

敵 師直が犬となって

ある事ない事
よくも内通ひろいだな。

四十余人の者どもな
親にわかれ 子に離れ

一生連れ添う女房を
君傾城の勤めをさするも

今 亡君の仇を報じたさ
寝覚にも 現にも

殿 御切腹の上を 思い出し

五臓六腑を 絞りしぞや。

この場 見てたら
もう 私 これ 正座して見たいです。

華やかな廓の中に
哀愁ある場面というのを描いて

それが この由良之助の本心の虚と実とに
照らし合わされてるという感じで。

さあ それでは
いよいよ 八段目ですけれども

「道行旅路の嫁入」ということですね。

二段目の「松切り」 それから 三段目で
判官を抱き留めてしまった

あの加古川本蔵。 加古川本蔵には
娘の小浪というのがいまして

これが 大星由良之助の息子の力弥の
許嫁だったんですよね。

ところが こんな事件に
なってしまったので

その話は ちょっと
立ち消えになってしまったけれども

さて どうしようということで

いや やはりこれは 嫁入りをさせたい
ということで

本蔵の女房の戸無瀬
これは後妻さんなので

小浪の生みの母親ではなくて
義理の母と娘なんですけども

こちらから 山科まで行きましょう
ということで

鎌倉から 山科まで 東海道を上っていく
という 道行きなんですね。

母と娘 たった2人きり。
お供も連れないで2人きりという

その まあ 言ってみれば
非常に覚悟を秘めた

嫁入りの道行き
そういうことなんですね。

続いては 九段目「山科閑居」です。
児玉さん このテーマが

「離縁」 そして「家族の崩壊」と。

嫁入りするつもりで やって来た
戸無瀬と小浪なんですけれども

大星由良之助の妻の お石は
それを認めないわけですね。

そして 由良之助もいないけれども

「私が言い渡すから 離縁します」
ということを言われて。

そして小浪と それから戸無瀬は
その場で死ぬ覚悟を決めるという

展開になっていくんですね。

だから 仇討ち事件がなければ
幸福に結ばれて

両家ともども 幸せにね まあいわば
過ごしていただろうけれども

その両家が 結ばれないという運命を
たどらざるをえなくなっていくという。

夫に負けるは 女房の常。

祝言あろうが あるまいが

許嫁あるからは

天下晴れて

力弥が女房。

コリャ 面白い。

女房なれば 夫が去る。

力弥にかわって この母が

去った 去った

去りました。

〽(尺八) コレ 娘。 あれを聞きゃ。

〽(尺八) 表には 虚無僧の尺八。

〽(尺八)

鶴の

巣籠り。

死ぬ覚悟をした戸無瀬と小浪のところへ
門口に虚無僧が来るんですよね。

その虚無僧を止めて
お石が 一旦は祝言させましょうと

思い直しましたという形で
出てくるんだけれども

そのかわりに 引き出物に
本蔵の首が欲しいと まあ言うと。

「それは」と思ったら
表に来ていた本蔵が

「じゃあ 差し上げよう」って出てくるのが
本蔵なんですよね。

本蔵は その由良之助が
仇討ちもしないで

何もしないでいる
というようなことを言う。

そこで 奥から出てきた力弥が
本蔵を槍で突き刺すんですよね。

お石のことを膝に引っ敷くので
力弥が助けに出て 本蔵を刺す。

そこで 本蔵が秘めていた本心を
打ち明けると。

自分は命を捨てに来たと。

力弥の手にかかって
恨みは全て水に流してほしいと。

娘の願いを かなえたいがためだけに
やって来たと。

なので どうか 力弥の嫁にしてほしいと。

ヤイ ヤイ。

貴殿の性根を見抜いた本蔵

手にかからば 恨みも晴れ

約束の通り この娘

力弥に添わせて下さらば

未来永劫 御恩は忘れぬ。

コレ 手を合わせて

頼み入る。

これぞ 尺八煩悩の。

枕並ぶる追善供養。

閨の契りは…。

(三人)一夜ぎり。

(鐘の音)

刃傷場面で 判官を抱き留めたのが
この本蔵ですよね。

仇討ち遂行のトップが由良之助さんで

本来だったら 2人は舅同士になる関係。
それが もう 許嫁同士なんだけれども

これだけ違ってきてしまったという
悲劇ですね。 そうなんですね。

特に 由良之助と本蔵というのは
ひょっとしたら

立場が入れ代わってたかもしれない
間柄でもある

というところも
まあ ありますね。

さあ そして いよいよ
十段目「天川屋」へ参ります。

この十段目というのは 実は
上演頻度が非常に低くてですね

江戸時代は かなり人気があった
場面のようなんですけども

近代になってからは むしろ
「天川屋義平は男でござる」という

そのせりふだけは
とても有名なんですけど

舞台で なかなか お目にかかることが
ないという場面なんですけれども

まあ 仇討ちの武器を調達する天川屋が
「あいつは本当に大丈夫なのか」という

一味たちの声に応えて
由良之助は ちょっと 彼を試すと。

それに 何も知らない天川屋は

「天川屋義平は男でござる。 そんな
何も知らない」と言い張るという

その商人の気骨を見せるという
場面なんですけれども。

まあ いっぺん 役者になったら 必ず

「天川屋義平は 男でござる」。

言ってみたい せりふですよね。

(皆々)何だ 何と。

摂津河泉の揚荷積荷

出船入船何百そう

湊 堺の町人の

男の中の男一匹

少しは知られた顔面

例え 我が子を殺されても

この長持は いっかな開けぬ。

誰だと思う。

天川屋義平は

へへ

男でござる。

とうとう やって参りました
ラスト 討ち入りの場面です。

まさに 義士の本懐を遂げる
大団円でございます。 はい。

今は「討入」ないと
なかなか締まらないのですけれども

今 上演される「討入」は
原作とは ちょっと違ってまして

まあ 割と実録風と申しましょうか。
なるほど。

ちょっと 今までの場面とは こう…。

ちょっと 映画やテレビと同じような
時代劇風な感じですよね。 そうですね。

むしろ そちらの影響を受けてるところが
あるんじゃないかなと思いますけれども。

御免。 それっ。

〽 (拍手)

大長編「仮名手本忠臣蔵」
堪能いたしました。 はい。

ねえ 児玉さんには より分かりやすく
魅力を伝えていただきましたけれども

児玉さんにとっての「仮名手本忠臣蔵」
どんなものでしょう?

あの「忠臣蔵」 本当 四季折々
2月の「大序」に始まって

桜の盛りで 切腹をし
勘平は夏の闇の中で事件を起こし

秋の月の 祇園 一力があって

雪の山科 討ち入りまでですね

1年間の四季折々 日本の四季を

全部通じて描いているという
魅力がありますですね。

私も 子供の頃から NHKの劇場中継で
いわば 育てていただいたようなもので

恩返しがしたいんですよね
言ってみればね。

これほど すばらしい 数々の記録を
持ってられるんだということをね

改めて 皆様にも
知っていただきたいなと思いました。

何か もう 国立劇場と歌舞伎座を
ず~っと見まくって 終わった

みたいな感じです。
贅沢でございました。

児玉さん 今日は
ありがとうございました。

ありがとうございました。
ありがとうございました。

それでは「にっぽんの芸能」…。

まず 本日は これぎり。

♬~

次回はアンコール。
舞踊「ねずみ」をご覧いただきます。