日本の話芸 柳家花緑 落語「蜘蛛駕籠」[解][字]…の番組内容解析まとめ

出典:EPGの番組情報

日本の話芸 柳家花緑 落語「蜘蛛駕籠」[解][字]

柳家花緑さんの落語「蜘蛛駕籠(くもかご)」をお送りします(令和2年11月13日(金)霞が関イイノホールで収録)

番組内容
柳家花緑さんの落語「蜘蛛駕籠(くもかご)」をお送りします(令和2年11月13日(金)霞が関イイノホールで収録)【あらすじ】江戸時代の交通手段であった駕籠(かご)をかつぐ駕籠かきは「雲助」などと呼ばれた。新米の駕籠かきが、兄貴分に「声を出してお客様を呼び止めてつかまえろ」と言われて試すのだが、なかなかうまくいかない。武士や酔っ払いなどに悩まされた挙句(あげく)、ようやく客が乗ってくれたのだが…
出演者
【出演】柳家花緑

ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸

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  17. お前
  18. ハハハ
  19. 相撲
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解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

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NHK
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♬~(出囃子)

皆さん こんにちは。 柳家花緑です。

今日これから ご覧頂く
「蜘蛛駕籠」という噺なんですが

私の師匠 祖父である
五代目 柳家小さんが

得意にしていたネタで

師匠から じかに
教わったと言いたいんですけれども

教わってはいないかな。

勝手に覚えた感じです。

それでも 師匠の教えの中で

やらせて頂いてる噺ですけれども

登場人物がたくさんいてね
大変に面白い噺で

やってて大変楽しいんですけど

聴いて頂く皆さんは
どうなりますでしょうか。

「蜘蛛駕籠」です。
よろしくお願いいたします。

♬~

(拍手)

♬~

(拍手)

ようこそのお運びでございます。

え~ 東京落語会 イイノホールではね
久しぶりじゃないですか?

今まで ニッショーホールというところが
長くあって その前は もちろんね

長く この会をごひいきにして下さる
皆さんはご存じで

建て替える前のね
ここのビルのイイノホールが

こう 常打ちといいますかね
聖地みたいなところでしたから。

私なんか もうね その昔
二つ目ぐらいの時から

こちらにお邪魔して
にっかん飛切寄席とか 思い出しますね。

そのころ 二つ目の時
努力賞っていうの もらって

賞もらって うれしかったら あれは
「努力しよう」って読めってことだった

というのが
後で分かったんですけれども。

そんな歴史ある落語会でございますね。

え~ まあ あの 今ね
やっぱり 一番キーワードになるのは

免疫力じゃないかと私は思いますね。

まあ 今 テレビでご覧の方は
これ 生放送ではありませんから

収録ですから 11月の中頃に
これを収録してるわけなんですけれども

放送日は どういうことになってるか
分かりませんが

とにかく免疫力ですよ。

それは
今日のお入りのお客様にも言いたい。

やっぱり 人間は食べることと寝ること
これが大事なのは みんな分かるんですよ。

特に こういうことになって

食を見直そうとか
今まで よく寝れてなかったなとか

逆に たくさん寝れて
ああ 寝るのは大事だなとか

この2つは
結構 見直されたと思うんですよね。

食べること 寝ること。
でも 僕は それと同じくらい

笑うことが大事だと思うんですよ。
これがね 最も見過ごされてることで。

自分にとって とてもいいことですから
笑うっていうことが。

今 この笑いのない客席の状態は
あんまりよくないってことです。

(笑い声)

そうです。 芸人が出てきたら ねっ
笑おうっていうのは

手遅れになる可能性が…
いや そんなことはないですよ。

でも やっぱり もうちょっと前向きに
っていうことです。

何が言いたいかっていうと
そういうことですよ。

もう あの 2割増し 自分から
「笑っていこうぜ」ぐらいな。

で 聴き終わったあと
「さっきの面白かったかな」ぐらいのね

そのくらいの余裕が欲しいです。
テレビをご覧の方も そうです。

縁あって このチャンネルにね
この時間帯 ご覧頂いてるのであれば

どうですか ねえ。
2割増し 自分から笑ってみると。

笑ってみると だんだん楽しくなる
ってことがありますから。

楽しくなるのを待っていたら
終わってしまう可能性があるという。

ここです。 ねっ 免疫力ですよ。

で 笑うと ナチュラルキラー細胞
っていうのが どうも出て

体にいいぜっていうことなんですよ。
もっと詳しく知ってますけど

テレビなんで あんまりいい加減なこと
言うと怒られますから。

言えませんが
でも 今日 客席にお越しの皆さんは

多分 そういうこと分かってると思います。
そうでしょう ねっ。

そういうことは とっくに知ってて

それで 今 笑わずに座ってるわけね。
そんなことない。

もうちょっと私も しっかりしなくちゃ
いけないと思いますが。

でも ありがたいです。

やっぱりね 皆さんがいないと
落語は独り言ですから。

大変 寂しい芸能になりますんで。
でもね 昨今 このテレビでの番組は

おかげさまで
長く続いておりますけれども

今 何でもね
配信をするっていうのがあって

こういうテレビとは違って
タブレットとか携帯とかで

配信をするっていうのがあって
随分ね 私も やりました。

そうすると 無観客っていうね

誰もいないとこでやるっていうのも
あるわけですよ。

そうするとね それはそれで また
最初は抵抗がありましたけど

だんだんね
ちょっと違う感じになってくるんですね。

配信で 向こうでは たくさん見てる。
まあ このテレビもそうですが。

誰もいないでしょ。 そうするとね
今 ウケたとかウケないとか

余計な自我がないわけ 一喜一憂が。

やりやすいと思っちゃったわけ。
(笑い声)

ただ これは 独演会ならぬ
独壇場なんですよ。

結局 誰も 面白いかどうかが分からず
終わっていくわけですから。

だから それに慣れてしまうのも
怖いなっていうことですね。

ですから 今日は ありがたいです。

ディスタンスな感じで こうね
間隔を空けて頂いておりますけれども

皆様 お一人お一人が こうしてね
顔が見えるっていうのはね

非常にうれしいことでございます。

本来の落語をね
忘れずにいられるというような

そんな感じですよ ええ。

まあ とにかく 落語っていうものは

そうして お客様に支えられていく
芸能であることは

昔も 今も これからも
変わらないというふうに思いますので。

まあ 今日の一席はですね
昔は その 何ですか

交通というものが
今よりも当然 え~ 便利ではなかった。

乗り物っていうのは いろいろあった中に
舟というのもありましたね。

これは意外と どうでしょう…
まあ 残ってはいないというか。

もっと このね 水路がいろいろあって
そういうところに 人が乗って

本当にタクシーのように
使ったわけですよ。

で 馬に乗るっていうのはね
あんまり庶民はなかった。

馬もありますけれども
あとは駕籠ですよね。

駕籠が 最も そういう意味で

今 進化したものは
車 タクシーと言っていいでしょう。

人を こうね 運ぶっていうことで
やっておりました。

まあ 車は もちろんね
運転手がいれば数人乗れることは

皆さん ご承知だと思いますけど

駕籠っていうのはね
一人 乗るわけですよ 中に。

先棒 後棒っていうんでね
屈強な男2人が

2人が1人を担ぐっていうんですからね
何か どうでしょうね

あんまり効率がよくないように
思ってしまいますけれどもね。

何か 誰か おんぶしちゃった方が
早いんじゃないかと思いますけれども。

そういうこと言っちゃいけないよね。
ひいき目に見れば 駕籠は駕籠で

あれにしかない揺られる風情が
あったんじゃないかって

こういう言い方もできるわけですね。

この担ぎ手のことを 昔は
雲助って言い方をしたっていうんですね。

これは その担ぎ手の連中
いるところが定まらない。

今日は東 明日は西っていうんですね。

浮き雲のごとく ふわふわしているから
雲助っていうんですね。

もう一つ 虫の蜘蛛 スパイダーですね。
これに例えたっていうんですよ。

街道筋 お客様に乗ってもらおうと。

こう 掛け声をかけて
呼び止めようとしている その姿が

虫の蜘蛛が巣を張って 餌になる虫を
捕らまえようとしている。

こんな姿に さも似たりっていうんですね。

そういう説もありますけれども
悪いやつらもいたっていうんですね。

これは どういうことかっていうと
つまり 男2人ですから 担ぐのがね。

若い娘なんかを乗せると

暗闇へ連れ込んでいって悪さをするとか
あげくは どっかへ売り飛ばそうなんて

とんでもない輩もいたっていう
話なんですが

これから申し上げる駕籠屋さんの出る噺は
そんな乱暴な連中は出てまいりません。

地上波ですから 皆さんね。
安心 安全な。

NHKですから もうね お聴き頂いて。
もう 安心なやつですね。

お聴き頂いても 何ら記憶に残らない
そういう感じです。

1人は その道のベテラン。
1人は まあ 我々で言うと

前座見習いみたいなね。
新米が出てくると 噺の幕が開いて

「へい 駕籠! え~ 駕籠屋でござんす。
へい 駕籠! 駕籠屋でござんす。

駕籠いかがですか?
へい 駕籠! 駕籠屋でござんす。

駕籠いかがですか?
へい 駕籠。 へい 駕籠。

おい 新米!」。
「はい…」。

「…ったくなあ ぼんやりしてやらあ。
あのな 言ってんだろ。

声出して お客様呼ばないと
乗って下さらねえんだって。

下向いて もじもじ もじもじして
恥ずかしがってんじゃねえんだ。

声を出せ 声を! いつになったら
仕事を覚えるんだか 本当に。

俺 ちょいとよ
はばかり行ってくらあ なあ。

便所から帰ってくるまでの間に
お客をつかまえとけ。 いいな!」。

「はい…」。

「へい 駕籠…」。

「へい…。 あっ 人だ…。

へい 駕籠! へい 駕籠! へい 駕籠!」。

「屁 嗅ごう(へい 駕籠)?
俺のは臭えぞ」。

「いいえ そうじゃないんですよ。
駕籠屋だから 『へい 駕籠』なんです。

駕籠に乗って頂きたい」。
「駕籠はいらねえ」。

「そ… そんなことをおっしゃらずに
お願いします。

もう だ… 大の大人がですよ
朝っぱらから銭の面を見てねえってのは

寂しいかぎりでございまして ええ。
どうかお願いします 本当に。 乗って…」。

「おい おい おい。
袖なんか引っ張るやつがあるか ええ?

駕籠はいらねえと そう言ってんだ」。
「いやいや もうもう… お願いします。

乗って頂くだけで結構で…
このとおりで…。

どうかお願いします。 どうか」。

「うるせえ野郎だな 本当に。
分かった 分かった。 そこをどけ。

乗りゃあいいんだろ 乗りゃあ。
本当うるせえな。 おい 乗った」。

「ありがとう存じます。
え~ どちらに行きましょう?」。

「知らねえ そんなの。

おめえが乗れって言うから
乗ったんだから。 好きなとこへ行け」。

「駕籠なんか
やみくもには担げねえんですよ ええ。

あっ じゃあ こうしましょう。 お宅まで
お供するっていうのはどうでしょう?」。

「ああ うちか。 それもいいな。
よ~し。 じゃあ うちまでやれ」。

「ありがとう存じます。
お宅はどちらですか?」。

「前の茶店だ」。

「そこ!? ああ… そこだったら
駕籠に乗ることありませんよね。

もう 今 話してるうちに
着いちゃうぐらいですから。

朝っぱらから そうやって
駕籠屋をからかわねえで下さい」。

「やい コノヤロー!
からかうなだと? コンチクショー。

おい! おめえたちはな 日のうち何度も
うちの茶店へ来るだろう。

そうしたらな そこのうちの
あるじの面ぐらい ちゃんと覚えとけ!

そうしちゃあ まったく
うちの客をつかまえて

『へい 駕籠。 へい 駕籠』言いやがって。
いいか うちのお客様ってえのはな

茶わん酒 かっ食らって
ニシンの尻尾をかじって

僅かな釣り銭でも もらって帰ろう。
そういうお客様が来るんだい なあ。

そのお客をつかまえて
『へい 駕籠。 へい 駕籠』言うから

近頃 うちにお客が寄りつかねえ。
出入りできねえようにしてやろうか」。

「どうも すいません 本当に!
知らなかったんで 本当ごめんなさい。

兄貴!」。
「あっ どうも旦那。 おはよう…。

はい? うちのこれが 駕籠を勧め…。
バカだね お前!

何で 茶店の旦那を駕籠に勧めるんだ。

いやいや もう この何日なんですよ。
旦那のことをね よく知らなかったんで。

ええ ええ もう小言を言っておきます。
あっしがいけねえんで。

本当に申し訳ありません。
もう おっしゃるとおり。 ええ はい。

もう ああ そう… えっ もう あっ…
あお あお あお あお あお?」。

「バカヤロー。 何で 茶店の店主
駕籠へ乗っけようとするんだよ」。

「兄貴。 俺 知らないから」。
「知らないからって話じゃないから。

なりを見ろ なりを! ねっ。
駕籠へ乗る格好ってえのがあるだろ。

あの人どうなの?
駕籠へ乗る格好なの?

しまの着物に前掛けをして
つっかけ履いてるでしょ。

見た? 両手に
ほうきと ちり取り持ってるから。

誰が見ても ごみ捨ての帰りでしょ。

『ちょいと そこまで』って
おかしいでしょ 乗ったら。

知らないって 分かんないって話じゃ
ないんだよ。 まったく しょうがねえな」。

「あれ 駕籠屋!」。 「お武家様だ。
引っ込んでろ 引っ込んでろ。

へい! ご用で?」。
「ああ お駕籠は2丁であるぞ」。

「へい ありがとう存じます!
2丁だってさ」。 「えっ?」。

「2丁だよ。 いや だから
俺たちだけじゃ 手が足りねえだろ。

ダチを呼んでこい。
行ってこい 行ってこい」。 「へい!」。

「先なる駕籠は姫様じゃ」。
「はっ」。

「後なる駕籠は乳母様じゃ」。
「へい」。

「それから 荷持ちが2人」。
「はあ さようでござんすか。

ええ 分かりやした。 大丈夫でござんす。

聞いてなくていいんだ 話…。
駆け出せってんだよ。

早くダチを呼んでこいってんだよ」。
「へい」。

「それから 供ぞろいが10人ほど」。
「えっ?」。

「今 ここを通らなかったか?」。

「お~い! 戻ってこい。
いいから戻ってこい!

お尋ねになってるだけなんだよ ものを。

いえ… そういった方は
まだね 見ておりません。

通らねえと思いますけど」。
「おお。

ああ 拙者が先のようであったな。
では 前の茶店で休息をしておる。

通ることがあれば教えるよう」。
「へい かしこまりました!」。

「ちぇっ べらぼうめ。 こちとら何も
通る人間 通る人間 覚えとこうってんで

『へい 駕籠。 へい 駕籠』言ってるわけじゃ
ねえってんだ 本当に。

やい コノヤロー おめえも おめえだ!
何だって 急に駆け出すんだよ」。

「だって兄貴が 急げ 駆け出せって…」。
「言ったからってさ

もっと こっちの話を
ゆっくり落ち着いて聞いて

それから慌てて駆け出せって話だよ。

何でも言ったとおりだと思ってやがる。
まぬけめが 本当に。

ああああ ああああ。
おい おい おい 酔っ払いが来る。

ちょっと よけとけ。
絡まれると やっかいだから。

ああいうのは乗らねえから
こっち よけとけってんだよ。

酔っ払いが来るからよ」。

♬「高い山から 低い山見れば」

♬「どうしたって低い山の方が低いね」

「変な歌 歌ってんだろ。
絶対 関わるなよ お前な。

あんなやつは乗らねえからな」。
「旦那 へい 駕籠!」。

「おいおい よせってんだ」。
「いやいや 兄貴 やらせてよ。

俺 本当つかまえてみせる。
なんとかするから。

ねえ 旦那。 へい 駕籠! へい 駕籠!」。
「おおっ 何だ?

おめえかい? 今 何か言ってるのは。
ああ 駕籠屋か?」。

「へい 駕籠屋でござんす」。

「な… 何… 何だよ それ。 何?

俺が『駕籠屋か?』って聞いて
『駕籠屋です』って

おかしいだろ お前 それ。
こっちが『そば屋か?』ってかけたら

『いえ 駕籠屋でござんす』
ってんじゃねえの?」。

「あい すいませんでございます」。
「謝る。 ハハハ…。

謝ることはねえんだよ 何もよ」。
「さようでございますか。

だいぶ 何か
ご陽気に酔ってらっしゃるようで」。

「えっ 何? な… 何て?
『ご陽気に酔ってらっしゃる』?

おっ。 おめえの… それじゃ 何か?

俺が陽気で飲んだ酒か
やけで飲んだ酒か 分かるのか?」。

「どうも あいすいませんでございます」。

「お前 すぐ謝るのな。
謝るなよ そうやって。 ええ?

ああ 教えてやろうか。
俺はな 今日は 陽気で飲んだ酒だ!」。

「じゃあ 当たったんですね」。
「当たったんだよ! ああ そのとおりだ。

何で陽気だったかっていうのをよ
話を おめえに聞かせてやろう。

今日は 川崎の大師様をお参りしたんだよ。
帰りは舟で帰ろうと思ってな。

六郷の渡しんとこまで来た。
すると 後ろの方から女の声で

『あ~ら 熊さん。 あ~ら 熊さん』
って言うんだよ。

振り返ってみたら これが おめえ
辰公んとこの かみさんだ。

おめえ 知ってんだろう?」。

「いえ 知りませんが」。

「知らねえ?
…んなことはねえだろうよ。 そうそう

神田竪大工町 左官の長兵衛の娘で
おてっちゃんといったら ほら!

なっ 分かったな?」。
「分かりません」。 「分からねえ?

ほら あれだよ あれ。
加納屋の旦那が なあ 間で仲人で

大黒屋で祝言を挙げたじゃねえかよ!
これで分かったろ?」。

「いや 知りませんよ」。
「知らねえ? …んなことはねえよな。

おてっちゃんはね 顔は ちょいと面長だ。
色も浅黒えけどね

女っぷりは悪くねえよ。
そう 目の下 ここんとこだ なあ

小豆っ粒のほくろがあるとまで言ったら
もう分かったな?」。 「知りません」。

「何で そういうこと言うかな。
いたんだよ おてっちゃん。

『おい どうしたんだ お前
久しぶりじゃねえか』。

『うちが近所なんですよ。
ちょっと寄ってってもらえますか?』。

『いいのかい?』。 『いいですよ』なんて
行ったら うちに辰公がいるじゃねえか。

『おお 兄弟。 久しぶりだな』。
『おっ母 支度しろよ』って

俺はよ 久しぶりに辰公と会って お前

したたか お前な ごちそうになっちゃって
飲んで 食ってさ。

でも 遅くなっちゃいけねえ。
暗くなるといけねえから

『また来~るよ。 あ~ばよ!』って
帰ってきた。

帰りは舟で帰ろうと思ってさ
六郷の渡しんとこまで来たんだよ。

すると 後ろの方から女の声で

『あ~ら 熊さん。 あ~ら 熊さん』
って言うんだよ。

振り返ってみたら これが
辰公んとこの かみさんだ。

おめえ 知ってんだろう?」。

「神田竪大工町 左官の長兵衛の娘で
おてっちゃん」。

「おっ 知ってんじゃねえ。 それそれ!
それだよ おてっちゃん!

加納屋の旦那が間に入って…」。
「大黒屋で祝言挙げたんですよね?」。

「いたか そこに!
そうなんだよ。 その おてっちゃん。

色は ちょいと浅黒え。 顔は面長。
でも 女っぷりは悪くねえよ」。

「目の下の この辺に
小豆っ粒のほくろがあるんですよね?」。

「ほれてたな お前は!
そうそう その おてっちゃん!

『久しぶりだな』。 『うちが近所なんで
寄ってって』。 『いいんですか?』って

行ったら 辰公がいたじゃねえか。

『おお 兄弟。 久しぶりだな』。
『おっ母 支度しろよ』って…」。

「酒さかなを
十分にごちそうになったんですね」。

「見てたか お前!
見られちゃあ しょうがねえ。

そうなんだよ。
でもな 暗くなるといけねえ。

遅くなっちゃいけねえから
『また来~るよ。 あ~ばよ!』ってんだ。

帰りは舟で帰ろうと思ってさ
六郷の渡しんとこまで来た。

すると 後ろの方から女の声で

『あ~ら 熊さん』」。

「もう分かりました 分かりました。
これ 生涯終わらなそうですからね。

もう あの~ いいんですよ。
もう お聞きしましたんで。

それより
駕籠へ乗って頂きたいんですがね」。

「ええっ?」。 「駕籠へ乗って下さい」。
「な… 何? か… 駕籠に乗ってくれ?

えっ お前は何? 駕籠へ乗ってくれとか

今 何か 頼んでんの?」。
「そうです 頼んでおります。

どうぞ 駕籠に乗って下さい。
お願いします」。

「いや… な… 何だな お前。
俺はね 思うんだ。

人に ものを 頼む時にさ

これ… ねじりっ鉢巻きしてんの?
それ どうなの? それ」。

「そうですか。 取りました 取りました。
じゃあ どうも お願いします」。

「それ 言ったからって すぐ取るとか
そういうことじゃないんだよ」。

「あっ さようでございますか。
どうも すいません。

じゃあ また させて頂きますんで。
へい! では お願いいたします」。

「取ったものを締めることねえだろ」。
「どうしていいか分かりません もう。

乗って下さい」。 「やだ」。
「お願いします」。

「お… 俺はもう 駕籠 嫌えだから。
歩く方が 体にいいからね」。

「バカ。 だから言ったろ? おめえ。
ああ?

声かけちゃいけねえって
乗らねえんだから」。

「何すか? 後ろのおにいさん 何すか?
な… 何か… えっ?

あっしが ここを通ったのが
いけねえって言うんですか?

どうも すいませんでした。

それは どうも気が付かない…
どうも すいませ~ん」。

「面倒くせえことになったろ おめえ。
いいから行かせちゃえよ もう行かせ…」。

「もう どうぞ お行きになって下さい。
ねっ どうぞ。 ねっ どうぞ どうぞ」。

「ん… 何だ それ。
こ… この手つき。

ニワトリ追っ払うみてえな。

あっ 謝りようが よくなかったっすか?
分かりました。

じゃあ ちゃんと謝れば…
許してもらえますか?

はいはい こうしてね
はい 地べたに座って 両手をついて

どうも すいません
ちっとも気が付かなかったもんで。

許して下さい! 勘弁して下さい!

私が悪かったんです!」。

「この結末 どうするつもりなんだ? お前。
お前が始めたんだ。 おめえが収めろ。

酔っ払ってんだから
許すとか何か言っちゃえばいいんだ」。

「ああ もう どうぞどうぞ
勘弁します。 許しますから。

どうぞどうぞ。 ねっ お手をお上げ下さい。
もう勘弁しますから」。

「勘弁してくれますか~?
ありがとうございます。

こんな私を勘弁してくれる…
本当に あの…。

おい 駕籠屋。 俺が いつ お前に

勘弁してもらわなきゃいけねえような
悪ぃことしたんだ」。

「勘弁して下さい」。 「ハハハ… 今度は
おめえが謝って。 おかしいね こりゃあ」。

♬「高い山から」

「また歌いながら行っちゃったよ お前。
何だったんだ? この無駄なひとときは。

…ったく 冗談じゃねえぜ 本当。

見ろ。 ダチは みんな お客つかまえて
行っちゃって 俺たちだけだよ

朝っぱらから 『へい 駕籠。 へい 駕籠』
言ってんのはよ。

やっと お客が来たよ。 おい おい
そっちじゃねえ。 こっちを見ろ。

あそこだよ ほら。 ええ?
ああいうお客は乗るよ なあ。

いいじゃねえか。
結城の対に 献上の帯だよ。

尻っぱしょりして
手拭いでもって吉原かぶりだ。

白足袋に雪駄履きよ。 なあ。

手拭いで ぽんぽん ぽんぽん踊りながら
向こうから陽気に来る。

ああいうのはな
調子づかせたら すぐ乗るんだよな。

おおっ! へい 駕籠! 旦那
駕籠いかがでござんしょうか?

へい 駕籠! 旦那
駕籠いかがでござんしょうか?」。

♬「こりゃさの こりゃさの
こりゃさの こりゃさ」

♬「駕籠屋 駕籠屋 お駕籠を持っといで」

「早かったろ? おめえな。
こういうもんだ おめえ。

はい 今行きます。 よっ そっ はい はい!
お待ちどおさまで」。

♬「こりゃさの こりゃさの
こりゃさの こりゃさ」

♬「よいやさの こりゃさの
こりゃさの こりゃさ」

♬「駕籠屋 駕籠屋
乗ってやる代わりに駕籠屋も踊れ」

「兄貴 『踊れ』って」。

「踊るんだよ。 ためらっちゃいけねえんだ。
一緒になって踊ってるってえとな

降りる時に こいつは面白え駕籠屋だった
って 祝儀を弾むって

そういうもんだよ おめえ。
へい 踊りましょう!」。

♬「こりゃさの こりゃさの
こりゃさの こ…」

「ほら」。
♬「こりゃさの こりゃさの こりゃさの」

♬「こりゃさの よいやさの
よいやさの こりゃさ」

♬「駕籠屋 駕籠屋 お駕籠の周りを
ぐるぐる回りましょ」

「兄貴 『回れ』って」。 「回れ 回れ。
聞いてんな いちいち俺に。 ためらうな」。

♬「こりゃさの こりゃさの こ…」

「ほら~」。
♬「こりゃさの… こりゃさの こりゃさ」

♬「こりゃさ こりゃさ こりゃさ!
こりゃさ! こりゃさ!」

「兄貴 だんだん楽しくなってきた!」。

「バカヤロー。 おめえが こんなとこで
喜んでてどうすんだよ。

ほら 今のうちに乗せてみろ。
声かけてみろ」。

♬「こりゃさの こりゃさ
こりゃさの こりゃさ」

♬「旦那 旦那 そろそろお駕籠に
乗ったらどうでしょ」

♬「乗りたい けど銭がない」

「張り倒せ コノヤロー!
何だ? さんざん踊らせといて おめえ。

また踊りながら行っちめえやがった
本当に。 冗談じゃねえ」。

「駕籠屋さん 駕籠屋さん」。
「へい! あれ? 気のせいかな。

誰か呼ばれたと思ったんだけどな。
おかしいな」。

「呼んだよ ここだよ」。
「あれ? 『呼んだよ ここだよ』だよ。

あれ? 何だい? えっ?
声がするけど 姿は見えねえ。

どちらでござんすか?」。
「ここだよ」。

「おいおい こっちだよ。 もう駕籠の中
乗っていらっしゃるんですね?」。

「ああ 乗らせてもらったよ。
あのね 駕籠の垂れは こうやって

下ろしたまんまで構わねえから
ひとつ 品川まで行っておくれ」。

「よかったじゃねえか。 なあ。
へい! ありがとうござんす」。

「品川まで いくらで行ってくれる?」。
「さようですね ここからでござんすから

1分 頂戴してるんですけれども」。
「そうかい。 じゃあ 2分にまけておきな」。

「いえいえ… お客様 違いますよ。
1分でようござんすよ」。

「だから 2分にまけな」。

「いい客 乗せた おめえな。
よかったじゃねえか。

へい じゃあ 行きます。
おっ! よっ どっ!

おい。 何だ? これ。
ちょっと重すぎやしねえか?」。

「兄貴。 俺 品川まで
肩がもつかどうだか分からねえ」。

「情けねえこと言ってんじゃねえ。
じゃあ 出るぞ。 おっ! よっ! ほっ!

ほっ! よっ! ほっ! おっ! おっ!
おおっ 重い。 肩に食い込む」。

「ハハハ…
駕籠屋が『重い 重い』って言って…。

中で2人乗ってるの気が付かねえんだね」。
「いいかい? そんなことして」。

「いいじゃないか。
これがね 旅の楽しさ 遊びの醍醐味」。

「何を言ってんだ。
遊びの醍醐味じゃないよ。 ええ?

こんな狭い駕籠ん中で
向かい合わせで膝詰めになって

息苦しくて しょうがない」。
「そういうこと言っちゃいけないよ。

こういう遊びをしといた方がいいんだよ。
どっかの芸人がね どっかのホールで

放送にかかったりするんだから
こういう遊びがね。

やっといた方がいいんですよ
こういうのは。 面白いね。

こうやって向かい合ってるとさ
大阪で見た相撲 思い出すね」。

「お前は相撲が好き…」。 「もう頭ん中
相撲のことしかないからね。

私のね ひいきにしていた…」。
「分かってる あの捨衣」。

「そうそうそう よく覚えといてくれた。

捨衣っていう力士が 俺は好きで
江戸に来たら ひいきにしちゃうぜ。

もともと坊さんだったっつうんだよね。
坊主の修行に耐えきれなくって

で 関取になって 捨衣って
これね 何で そういうやつがね

相撲の修業に耐えられたのかが
分からないんだけどね

とにかく 捨衣ってんで
これはね 何がいいってね

背は そう高くないんだけどね
腕っぷしが強いってのかね

前褌を ぐっとつかんだ時に
どんなに振り回されてもね

この手を離さないというところに
ほれ込んだ」。

「分かった 分かった。 お前はね 何 その…
熱くなるのやめなさい そうやって。

静かにしないと また…。
そのね しかた話をするでしょ。

何がって 今 お前さんがつかんでる前褌
私の前褌なんだから。 これ離して」。

「離さない 離さない。
捨衣は こっからだから。

こっから 押っつけが…」。
「押っつけって危ないね!

長い手だね お前は どうでもいいけど。
離さ… 離さ… ちょっと…。

やるか 本当に? よいしょ よいしょ!」。
「どっこい どっこい!」。

「よいしょ よいしょ!」。
「どっこい どっこい!」。 「あ~っと!

冗談じゃないよ お客さん。 ええ?
2人乗ってたんですか?」。

「ハハハ… だから言ったろ?
2分にまけておくれ」。

「何を言ってるんですか 本当に。
駕籠の底が抜けちゃいましたよ」。

「大丈夫だよな。
繕い代は こっちの方で出すから。

とにかく やっておくれよ」。
「いや やっておくれじゃないんですよ。

駕籠の底が抜けちゃったんですから」。
「大丈夫だよ。 俺たち 中で歩くから」。

「歩く!? 歩くってさ。
そんな駕籠 担いだことねえけどもな。

じゃあ 行ってみるか。 はい 行きま~す。
よ~いしょ。 軽いね 今度はね!

はい! はい! はい! はい!」。

「アハハハ! 兄貴 これなら
いくらでも担げるわ」。

「ハハッ 面白いことになりました」。
「面白くないよ。

どうして 私とあなたが こんな駕籠の中で
中腰で駆け出すんですか。

この微妙な姿勢!
これで品川まで行くんですか?

腰が痛くなりますよ」。

「お父っつぁ~ん!
ちょっと出ておいでよ!

表に すごい駕籠が通ってるから。

駕籠の中から足が4本
駕籠屋と合わせて8本だけどね

あれ 一体 何て駕籠だろうね?」。

「ああ あれが本当の蜘蛛駕籠だろう」。

(拍手)

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